アルの桃太郎
むかーし、むかしあるところにミライお婆さんが川へ洗濯に行きました。
すると、上流から大きな桃が”どんぶらこ どんぶらこ”と流れてきました。するとミライお婆さんは
「川に桃など捨ておって。食べ物を粗末にするとは何ということだ。」といって、さっさと洗濯を済ませて、水でふやけた桃を捨てて帰りました。
すると桃から
「オーノー!食べ物を捨てるとは何というバチ当たりなガールだ。」と、後ろから声がしたのでミライお婆さんが振り向くと、そこにはふやけた桃から這い出た≪赤ん坊≫…と、言うにはちょっと無理のある男の子がいました。
「………それもそうじゃな。」
ミライお婆さんは少し考えてからその男の子と、ふやけてグチャグチャになった桃を家へ持ち帰りました。
家に帰ると、タカマルお爺さんがいました。
「キボウタカマル、この話ではまだ芝刈りに行っているはずだぞ。なぜ家の中にいるのだ?」
などと台本の内容までバラしてしまうミライお婆さんであった。
「ああ、山でちょっと怪我をしてしまったでござるよ。何、大したことござらん。すぐにまた芝刈りに…」
「無理を言うな、怪我をしているのは足ではないか、今日はこのまま休んでおればよい。」
放っておけば、怪我をしたまま今にも飛び出さんばかりのタカマルお爺さんを引き留め、ふと、今拾ってきたばかりの男の子に目をやった。
「そなた、名は何というのじゃ?」
「HEY!ガール。俺は今、拾われた設定なんだぜ。こういう場合ガールが決めるもんだぜ」
「…それもそうだな。では、ユメガアルザエモン。」
「な…なんだそりゃ。」
「名前が無くては不便ではないか、それがお前の名前だ。大事にするのだぞ」
有無をいわせぬ態度であった。
「実はな、ユメガアルザエモン。」
「オーノーせめて”アル”って呼んでくれよ。」
「口数が多いぞユメガアルザエモン。お前はこれから鬼ヶ島へ行って薬をとってまいれ。」
「へっ?たしか鬼ヶ島には鬼退治に行くんじゃなかったっけ?」
「なら、その鬼共をついでに退治してくれば良かろう。」
「WHAT?」
「期待しておるぞ」といって、ミライお婆さんは、台所に行きユメガアルザエモンの為に、ふやけた桃で桃団子を作ってあげました。
「では、ちゃんと薬をもって参るのだぞ。」
手には桃団子と鬼ヶ島へ地図に、竹で作った剣。服はタカマルの古着であった。
「では、行って参れ。無事に帰るのだぞ。」
「拙者の為に…申し訳ござらんアル殿」
………………もう、行くしかなかった。
「まったく、このCITY BOYが何の因果で鬼退治何かしなくちゃならないんだ!」
「あーるざえもん、アルザエモン。お越しに下げた桃団子、1つ私に下さいな。」
通りから犬が一匹飛び出してきたと思ったら、アルの腰に下げていた桃団子をさっと取ったかと思うと、あっという間に”全部”食べてしまいました。
「あ゛ーーーーーーーーーーーー。」
「いいでしょーが、団子の1つや2つ。」
「”DOOG”はすべて食べたぜBOY!」
「はいはい、分かりましたよ。後、猿とキジがいれば良いんでしょう?おやじさまー。クラマー」
「なんだウラ?ワタル」
「どーしたんだ、大声なんか出して。」
犬の名前はワタルと言った。
「いやー、この人が鬼ヶ島へ鬼退治に行くんだって。2人とも一緒に行ってくれないかなー。」
「そーゆー事ならOKたぜ。」
「ワシも行くウラ」
こうして、ワタル・クラマ・幻龍斎とアルザエモンは鬼ヶ島へ行くことになった。
「あ、ワタルが遊びに来たぞ。赤鬼の大地!」
「へい、親分。」
「虎ちゃん、ワタルが犬だよ。何でー?」
「うーん。そーか!分かったぞ、きっと今日は動物ゴッコして遊ぶ気なんだ。」
「きはははは。動物ごっこなのだー。」
「それにしても、何故、みんな武器を持っているんだ?それにあの蒼い髪の奴は………”はっ!”きっとあいつはワタル達を脅してるんだ。そうでなければ友達のワタルが武器ワモってココへ来るわけがないんだ。くそーあんな奴やっつけてやる!しっかり見てろよヒミコ。」
「うん!」
こうして虎王にあっさり寝返ったワタル達にコテンパンにやられたアルザエモンは、ボロボロになりながらも何とかタカマルお爺さんとミライお婆さんの家に逃げ帰る事が出来ました。
しかし…、その姿を見たミライお婆さんに「薬はどうしたのじゃ?」…と、きついトドメを食らうのでありました。
おしまい
眠っていた昔原稿からでてきた、魔神英雄伝ワタル・魔動王グランゾート・超幕末少年世紀
タカマルのキャラが出てくる小説でした〜。
懐かしいのでupしてみましたけど、一体、この話のキャラが分かる方が何人おられるのか…。ご存じの方、友達になってくださいw
2009.6.26