情欲

 白いシーツに綺麗なしわを寄せる、榛名さんの綺麗な身体。

 身体のメンテにすごく気を使う榛名さんが、今は俺の前で大きく足を開いて大切な体を預けてくれている…。
「ひぁっ……ぁぁっ………三橋っ」
 榛名さんの身体がビクビクと反応して、甲高い悲鳴のような声を上げて震え始めた。

 寒いのかな?って少し心配になったんだけど、そぉっと顔を覗き見た瞬間。俺の心臓がドキリと跳ね上がる。
 涙が浮かぶ目がキラキラして、耳まで赤くなった表情が………表現し難い程目を奪われて………欲情する…。
 寒く…無いよね?だって、榛名さんの顔まっ赤で身体もほんのりとピンク色になってる。

 大事な榛名さんの身体を、丁寧に丁寧に高めていく…。
 次第に情欲の色を帯びていく表情を見ている内に、自然に口へ堪る唾液をゴクリと嚥下した時、一気に下半身に血が集中するのをハッキリと自覚した。


 榛名……さん…が、……欲情してる。……そう思った瞬間、クラクラと目眩がした。




 俺の………だよね。


 榛名さんは、俺のものだよね………。




 すっかり勃ちあがった榛名さん自身に指を絡めてゆるゆると愛撫すると、シーツをギュッと掴んで榛名さんは震えていた。

 興奮…してくれてるんだ……。
「ふわぁっ………くぅっ」
 こんな事を許してくれる榛名さんに、スッゴク感動して、榛名さんがもっともっと気持ちよくなれるように…少しでも多く快感を感じてくれるように、丁寧に丁寧に舐めていく。


「あ……あぁっ…や……嫌…だっ………っ」



 …………嫌って、言われちゃった……けど、本当は…嫌じゃないの俺、知ってるんだ。
 この間それで手を止めたら、『気持ちよすぎて変になっちゃうのが嫌なんだ』って、真っ赤になりながら教えてくれて、スッゴク嬉しかった。

『だから止めなくていい』って教えてくれたよね。
 あの時の榛名さん、凄く凄く可愛かった。
 ゾクゾクしたよ…榛名さんが可愛くて…

「榛名さん……す……き……です。」
 舌先を尖らせて、榛名さんの内部へと侵入する。
「ぁン……やっ……」
 うわっ……すごい色っぽい声…もっと聞きたい。
 もっと聞かせて。

 押し戻されるそこに、更に舌先へ力を込めてムニムニと押し込んでいく。
 締め上げてこられたけど、痛いって程じゃない。
 押し込んだ舌で内壁をぐるりと舐め上げると、榛名さんの身体がビクビクッってなって、切なそうな喘ぎが洩れた。


 右手で榛名さんの前を刺激しているので、ベッドに手を付いていた左手を背に落とす。
 瞬間、背中がビクリと魚のように跳ねる。
 弓形に反る背中が、とても綺麗で…それに触れていることに感動を覚える。

 背中が感じるんだよね。
 こうやって指先で滑るように触れると、途端に腰が崩れそうになる。
 さり気なく支えてあげて丁寧に愛撫する。

 こうしてる榛名さん…は、とっても可愛い……ちっとも変じゃないよ。
 感じてくれてるんでしょう?どうかもっと、もっと…気持ちよくなって。



 俺なんかより全然均整の取れた身体で、凄く格好いい榛名さんなのに…すごく可愛いって…本気で思ったんだ。
 俺、榛名さんのこと大事にしたい。
 とってもとっても大事にして、俺だけのものにして誰にも渡したくないって強く思った。


 ねぇ、榛名さん。こう言うことするのって、俺とだけだよね?
 他の人としてたら………いやだ。
 俺じゃないと感じなくなるくらい…俺のやり方……覚えて…。
「やっ……あぁぁぁ……っ」


 挿れてる時、榛名さんは少し辛そうにしてる…でも、俺知ってるんだ。
 全部入れ終わったときに、榛名さんの目がとろん…って溶けちゃいそうになる。

 すごーく気持ちよさそうにしてる榛名さんは、色っぽくって…そうなる事をしているのが俺なんだって思うと、言葉に出来ないくらい嬉しい。

 そんな榛名さんにキスしたくて、繋がったまま唇を寄せると結合部分がギュウギュウと押しつけられる結果になる。
 だって榛名さん背が高いんだもの。榛名さんの身体を曲げてもらわないと口に届かない。
 榛名さん、少し苦しそう…赤くなった頬が更に朱に染まっていく…。

 絡めた舌で口の中も愛撫するように舌を伸ばしていると、榛名さんが俺の首に手を回してくれた。
 う…嬉しい。
 もう、それだけで幸せ一杯になって腰を振り始める。
「ん……っ……ん…ふ……ぅ……。」

 口がふさがっているから、くぐもった声しか聞こえない。
 いつもみたいな声が聞きたい。
 でも、キスも気持ちいいから止めたくない。
 俺って我が儘かな?

 榛名さんの柔らかな内壁が、俺を優しく締め上げては絡みつくように弛緩する。




「あ…あっ……んっ……。み…は……しぃ」
「う……あっ……は…榛名さん。き……気持ちいい……よぉ…」
 もう、腰を振ることに夢中になってしまって、榛名さんの中を貪るように突き入れては引くことに夢中になる。
 抜き差しするたびに、出ていくのを名残惜しむかのように絡みついてくる内壁の感覚が堪らない。

「あ……も……イク……ぅ……」
「お……お…俺も」
「やっ……あっ………あぁぁぁぁっ」
 最後には腰をがむしゃら押しつけて榛名さんの中で果てた。びゅっびゅっ…って全部榛名さんの中で出し切ると、その度に切なげに寄せられる榛名さんの瞳に魅入る。

 中で出してるの…わかるんだ…。
 それと同時にそんな事を許してくれる事に感動する。
 は…榛名さん……す…き……。大好き。この人を誰にも渡したくない…。




 身体はすっきりはしたけど、まだ榛名さんを放したくないよ。
 榛名さんを俯せにして、ちゅっちゅっ…と、背中に啄むようなキスを落とす。
「あ……あっ」


 榛名さんが自分のモノだという証が欲しくて、そーっと下着で隠れる位置に所有者の印をつけておく。

 本当はもっと目立つところに付けたいんだけど、部活で着替える時なんかに、誰かに見咎められでもしたら、逆に余計な相手を意識させてしまうかもしれない。
 だから、誰にも見えないところで我慢する。

 榛名さんが…俺のだってしるし……。



3部作三×榛の最終話「素直」で、丸ごとボツったHシーンでした。

2008.03.21