記憶

どこだここは…。

ぼんやりとした意識を覚醒すると、地面に土の感覚がある。
左手にはミットを構えているのが視界の端に映った…。
側に誰か立っている…………打者?

ここが球場であることを理解した俺は、反射的にマウンドを見た。

『三橋じゃ……ない!!』

マウンドに立っていたのは、戸田北時代のユニフォーム着た榛名だった。

『な……』

榛名が頷いてる……。
俺がサイン出してたのか?どんな?
事態を飲み込めないまま、ミットを構えた。

ギラギラした視線をよこす…、『全力の球がくる!』
おおきく振りかぶって投げられた球は、一瞬で目の前まで迫る。
捕球しようとした瞬間…。

微かにバッターのバットに当たり、球がチップした。
俺は目の前で軌道の変わった球に反応しきれず、モロ鳩尾に食らった。





心臓が悲鳴を上げる。
苦しくて痛くて、肺が膨らまず、声を出すことも呼吸することも出来なかった。
苦しさのあまりのたうち回る俺を、バッターが呆然と青い顔をして見ている。
審判が何か言ってるようだ。
多分「大丈夫か?」とか、そんな言葉だと思う。

苦しさの中からマウンドを見ると…。
元希さんの姿がなかった。

『?』

「タカヤ!」
反射的に声の方を振り返ると、元希さんが心配そうに俺を覗き込んでいた。

その瞬間、何故か救われかたように安堵して呼吸も出来るようになった。

そうだ、ちゃんと心配して貰ってたんだ。
どうして忘れてたんだろう。



目が醒めると、怪我した膝が痛んだ。
「何で今更、思い出すんだよ…。」



短すぎて毎回タイトル迷う…最初のタイトルは「記憶の邂逅」でした。
堅すぎる…と却下w

ところでこの話は、原作が進まないと続き書けない罠。
完結まで書けるのかな?これw
アベハルになるかハルアベになるかは不明。

早く榛名と阿部が和解しますよーに☆
そして……本誌に榛名が登場しますように!!!!!!!

モトキとタカヤに幸せな未来を

2008.06.02