織田生誕日小咄

しもた……。試合中だというのに、叶を怒らせてしもうた……
いつもの事ながら、機嫌悪くなるとベンチ座ったままこっち見ようともせぇへん。

「なぁ……叶」
「……何だよ。」
う…返事はしてくれるけど、取り付く島もあらへん…

「畠が試合前に買ってきたジュース…いっぱいあったから一本もろたんやけど、それが叶のやったなんて、俺知らんかってん…ゴメンナ。今度、買うてやるさかい……。」
そこまで言うと、叶はガタッとベンチを立ち上がり俺を睨んだ。

「お前っ!!俺がそんな事で怒ってるって言いたいのか?」
「いや…その……。とにかくすまんかった…」
実際、叶はそれで怒とるやろぉ……自分が認めたないだけやで…。
でも、ワイも別に喧嘩したいわけやないから、とにかく下手にでて許してもらお…。

「お前…そうやって、俺の機嫌取ってれば良いって思ってるだろ?」
「う…。そ……そんな事は……」
丁度考えてることをズバリ言い当てられて、どもってしもた…。
これじゃ叶に考えてることバレバレや…

「バカにしてんじゃねーよ」
はぁ〜どないしたら、ええんやろ……そや


「叶…そう言えば、三橋は桐青に勝ったそうやないか」
言った瞬間、くるりと振り向く叶の目ぇが光り輝いとった…
「そうなんだよ!廉のやつ…俺にメール寄越したんだ。『俺もみんなで勝ったよ』って。『みんなで』って!!」
「あ…ああ」
叶の態度の豹変ぶりに戸惑うわ…。叶は三橋の事褒めると途端にこんな調子や…。感謝するで

「廉…ずっと1人で野球やってたから、三星出ていってすげぇ心配してたんだけど、ちゃんと野球続けててさぁ…織田も、やっぱ三橋は凄かったって思うだろ?最後、打てなかったもんな」
ぐさぁ…『打てなかったもんな』には、正直ズシンと来るもんがあるで叶…
しかし、さっきまで機嫌が悪かったとはとても思われへんわ…叶は本当に三橋の事、大事に思とるんやなぁ…

頬染めるまで興奮するほど、嬉しそうに三橋の自慢する叶は、ホンマ嬉そうや…。
「流石、叶が認めたピッチャーだけあるわ。三橋は」
そう言うたら、叶がピタリと三橋の自慢話を止める。

「お前も、俺の認めるバッターになるぐらい頑張れ」
ぐ…ワイ三橋より格下扱いなんか…正直ヘコむわ……
でも、叶の機嫌はすっかり直ったようや、三橋様々やで…

「ああ。頑張ってくるわ。取りあえず、試合終わったら、あのジュース買ってやるからな」
にこりと笑顔で返したが、途端に叶にプイッとそっぽを向かれてしもた。


し・も・た・忘・れ・と・っ・た・だ・けろや・っ・た・ん・か……



2日遅れだけど、織田誕生日オメデトーヽ(・∀・)ノ ワッチョーイ♪
CSさんに捧ぐ!

2008.2.23