愛のメモリー

「や……っ」
正守の手が、露わになった良守の肌を這い回る…
脱がされた良守の服は玄関に散らばる…
「こんな…誰か帰ってきたら」
「大丈夫だよ。みんな出かけてるから」


学校から帰ってくると、正守が家で一人待っていた
「父さんは買い物。利守は友達の家。おじいさんは老人会」
ふぅん…と、生返事をして視線を逸らすと、突然顎を捕まれて口づけられる。
気が付いたら抱きしめられていて、逃げようとする暇もなかった。

「ん…はぁ……ふっ…」
こうされてるだけで、凄く気持ちよくて玄関先だというのに俺は感じていた。
いつもなら押し倒してくるのに、今日は玄関の壁に押しつけられて立ったままだ。
震える膝で何とか自分を支えながら愛撫にたえる…
いつ誰が帰ってくるかも判らないスリルが、かえってドキドキして行為にのめり込んでしまう。
イケナイ事をしているという背徳感が、今はただ欲情を煽る道具でしかない。

這い回る正守の指や舌が、いつもよりずっとHに感じる。
「あっ…あっ………」
裸でいるから、外から透けて見えるんじゃ…
ドキドキする…

もう、自分じゃ止められない。
「んぁ……はぁっ……ん」
「いつもより感じてるね。気持ちいい?」
「ば…ばかぁ……」
力無く正守の着物を掴んで抗議する。
どうしよう…俺、これ以上声押さえられなくなる。

「や……あぁっ」
正守がもう俺の中に入ってきた。いつもより全然早いんでびっくりしたけど、案外すんなりと受け入れられた。
やっぱり…いつもより感じてるんだろうか…
正守もこんなに性急になってるのは、俺と同じようにいつもより感じてる?

「はっ……ぁ………あんっ」
一人では立っていられなくて、正守に縋り付く。
「気持ちいいよ。良守。ありがとう」
「…いっ……意味不明な礼何か言うなっっ」
気持ちよさに真っ白になっていた頭に、そんなセリフだけが鮮明に耳に飛び込んできた。

「やだなぁ…純粋にお礼なのに。」
「な…に……言って…」
お前の冗談に付き合ってる余裕なんかこっちには無いっての…
「俺をこんなに熱くさせてくれるのはお前だけだよ」
その言葉に素直に反応するこのからだが憎い…言われた瞬間、心臓が鷲掴みにされたように跳ね上がり、身体の内に存在する正守を締め付ける…

「くっ…」
「あっ…ん」
正守が中でイったのが判る。はぁはぁと二人で息を整える。

「今の反則だよ良守」
「お…お前が変なこと言うからだろっ」
俺は自分は悪くないって意味で言ったんだけど、正守は「そんなに嬉しかったんだ?」とか言ってきやがった。

「風呂場に行こう…お風呂沸かしてあるから、続きしよ。アレじゃ満足し出来なかったろ?」
顔が紅くなるのが自分でも判る…良くこんな恥ずかしいこと言えるなコイツ…
「なんで今日は玄関とか風呂なんだよ」
俺が文句を言っている間に、正守は散らばった服を集めて俺に渡し、お姫様だっこなんかする
「わぁっ何すんだっっ」

「いやいや、今日は良守にメモリーをプレゼントしようと思ってね」
「メ…メモリー?」
お前が横文字なんか使うなよ。似合わねぇ…

「玄関や風呂でどんなふうに抱かれたとか、こうやって廊下をお姫様だっこされて運ばれたとか。二人の愛のメモリーだよ」
「そんな言葉何処で覚えてきたっっあほかーーーーーーーーっっ」

俺はその後風呂場でたっぷりと可愛がられ、メモリーとやらを植え付けられた…



次の日
……く。…しっかり昨日のことを思い出している自分が悔しい

良守が玄関や洗面所で風呂を見つめながらそんなことを考えている時。
「今度は通学路かな♪」
などと正守が考えていることを知る由も無かった。



拍手にあった小説です。

2007.6.4