Real Dark

 暫く振りに戻った、実家の玄関前に正守は立っていた。
「ただいま」
 玄関は静まりかえっていたが、足下には2足のスニーカーが転がっている。
 サイズから見て、良守のものだろう。それに、うちで靴を揃えないのはアイツだけだ。
 転がっている靴が2足と言うことは、良守の友達が遊びに来ているのだろうか?

 きちんと靴を揃えてやり、さして気にも止めず居間でお茶を入れて一服付いていた。
 今日来ることは連絡してあったから、そのうち父さんも戻ってくるだろう。

 手入れの行き届いた庭に、似つかわしくない黒く大きな鉄球。
 側にはへこみがいくつかあるから、良守がそれだけ頑張って修行しているんだろう。

 あいつ、まだ時音ちゃんのこと好きなのかな?
 ふと、そんな事を考えたときに、時刻がすでに夕暮れ時になっていることに気が付く。
 他にすることもないので、良守の様子を見に行くことにするか…。
 友達も来ているようだが、顔を出すぐらい別に良いだろう。
 少し驚かせてやりたくて、気配を絶って良守の部屋へと近づいていく事にした。

 微かな話し声が聞こえてくる。やはり誰かきているようだ。
 ……………が、徐々に近付くにつれ、それが話し声でないことに気づいた。
「………ぁ……はぁっ」

 ……良守?
 不穏な空気を感じながらも、一声だけ掛けて部屋の襖を開けた…。

 目の前の情景に我が目を疑う。
 弟が…良守が、男に組み敷かれていた…。
 俺が衝撃に固まっている隙に、良守に乗っていたやつが慌てて走って逃げだした。
 ぶつかって来られたが、その時はあまりの衝撃に気が付きもしなかった。

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「父さん達には…言わないでくれ……」
 暗い顔をして、やっと開いた口から出た言葉がそれだった。
「………お前の返答次第だな。今のヤツ好きなのか?」
「ううん。」
 そう言って良守は頭を振る。
 意外だった…。一途な良守が、好きでもない相手と肌を合わせられるのか?
 いくら暫く会ってないとはいえ、人間の本質はそう変わるモノではない。

「……何か弱みでも握られているのか?」
 考えられる1つの可能性を尋ねるが、良守は頭を振って否定する。
 烏森の事でも知られたのかとも少し考えたが、それで体を捧げるほど馬鹿でもあるまい…。
 なかなかハッキリしない良守に苛立ち始めたとき…

「………ぁ…兄貴、俺…の、こと……軽蔑する?」
 やっと絞り出すような震える声で、それだけ言うと項垂れる良守を見て俺は一つ溜息をついた。
「軽蔑はしない。お前が決めたことならな…。」
「本当!?」
 良守は俺に白い目で見られるとでも思っていたようで、「軽蔑しない」と言っただけで嬉しくて仕方がないようだった。

 よほど後ろめたかったんだろう…嬉しそうに瞳を輝かせて、勢いに任せて俺に抱きついた。
 いつもの良守の態度からは、想像も付かない行動に戸惑う。
「話の途中だろう…」
 本当に、一体どうしたのか…俺は良守の背を撫でてやりながら、やんわりと引き剥がして顔を覗き込んだ。
「だって…だって凄く気持ちが良いんだ。最初は、俺やだって思ったんだけど…なんかだんだん気持ちよくなってきて、そしたら…」
「そしたら?」
 正直…この時、良守はおかしかったと思う…。

 ―― 多分、俺に見られたことの恥ずかしさや、背徳行為への叱責も恐れていたんだろう。
 ―― そして、何より…行為の途中だった為、体が疼いていたのかもしれない。

 良守は俺から視線を外し、俺の胸に顔を埋めてきた。
 こういう趣味があると知った弟に、密着するのは何とも妙な気分である。

「他にもそう言う奴等がいて、俺、押さえつけられて何人にも、そういう事された…」
 良守の言葉に、血が凍るかと思った。
「……結界、使えばいいだろう?」
 良守の言い出すことが信じられなかった。
 いくら多勢に無勢でも、一般人相手ならどうとでもなるはずだ。
 いや、それよりも何人にもだと?父さん達は、本当に誰も気が付かなかったのだろうか?

 次に良守の口から出た言葉は、更に信じられなかった。
「俺…俺…あんまり気持ちよくて、どこかで止めて欲しくなかったんだと思う」
 言いながら、良守は俺にしがみつく腕の力を一層強めた。
 おそらく顔を見られたくないのだろう…しかし、実の弟が「気持ちが良くて」男に犯られたなどと、到底すんなり納得できるものではなかった。

「お前、男だろう?」
「そうだけど…」
 つい、口から出てしまった言葉に、デリカシーに欠ける質問だっただろうか?と少し反省する。
 今の状態の良守には、十分言葉を選んでやらなくては…
 俺がそんなことを思案していると、良守は泣きそうな顔で見つめてくる。

 その真っ直ぐな視線に困り果てて、視線をはずしたその時…良守が俺の唇にそれを重ねてきた。
 一瞬触れただけのそれは、すぐに離れて…
「兄貴……しよ…」
「な……に、言って…」
 俺は驚いたが、同時に先程の良守の痴態が脳裏をよぎる。
 男の愛撫を受けながら、甘い嬌声を上げる淫らな良守の姿…。

 さっき一瞬だけ触れた良守の唇の柔らかさに、まるで吸い寄せられるように自分から良守の唇に己のそれを重ねた。
 誘うように開く唇に、口づけを深くしながら舌を忍び込ませると、良守の舌が妖しく絡みついてくる。

 実の弟との禁忌の行いに、俺は興奮していたのかもしれない…。
 冷静な俺が頭のどこかで「何をやっているんだ」と、告げている。
 馬鹿げた行為だと…頭では理解できても、先程の痴態が頭から離れなかった…。
 柔らかな唇はそれほどまでに離しがたく、良守からも感じてきたのが伝わってくる…

 ゆっくりと唇を離したときには、良守の唇はピンク色に色づいていて、濡れた唾液が光を放ち… 何よりうっとりとした恍惚の表情を浮かべる良守の姿に、情欲を一気に捲し立てられた。

 力任せに押し倒したのに、文句一つ言わずしなやかな腕を俺の首に回す殊勝な態度は、従順でしおらしく映る。
 勢いで押し倒したものの、男相手にどうすればいいのか戸惑っている俺の手を取り、良守は自分の胸の上にそっと置いた。

 薄いTシャツしか着ていない良守の胸に、ポツンと乳首が立っていて、指先で触れると良守に反応が返るのが分かる。
 見よう見まねでしかないが、暫くそこを弄っていると良守の息がだんだん荒くなるのが伝わってきて、俺はTシャツをめくり上げ、そこを直接舐め上げた。
「あぁ…んっ」
 聞いたこともない女みたいな良守の声に、不思議と「もっと聞いてみたい」という気になってもう片方の突起を指で刺激すると、更に甘く、甲高い声が上がる。

 良守があまりに気持ち悦さそうにしているので、つい、聞いてみたくなった。
「ここが感じるのか?」
 すると良守は、コクリと頷いて頬を染めて震えた。

 気を良くして、舌はそこに残したまま手を脇にそって這わせる。
 すでに形を変えだした中心を服の上からさすってやると、もどかしいのか太股を捩らせてもじもじしてくる。
「は……ぁ…んっ」
 だんだん固くなってきて、今度は形に添って触れてやると、良守は気持ちよさそうに目を潤ませて吐息を吐く。
「や…もっ……」
「嫌なのか?」
 俺が問うと、良守は頭を振って否定する。

「もっ…と、さわって……」
 言われて初めて、服の上からなのが不満なのだと気が付く。
 直接触れてやろうと下着ごと短パンに手をかけると、良守は自ら腰を浮かせたので簡単に脱がせることが出来た。
 すでに服の中では窮屈にしていたそれは、脱がしてやると同時に勢いよく上を向く。
 先走りに濡れたそれはぬらぬらと光り、自然に手が伸びた。
「ああっ…」
 ヌメリに任せて強弱を付けながら上下してやると、あられもない声がひっきりなしに上がり始めた。
 先端から伝い零れる先走りを目で追っていくと、根元の黒い茂みを伝って良守が男を銜えていたであろう場所を通ってから畳へと落ちる。

 シミになっては不味いので、近くにあったタオルを引き寄せ、良守の腰の下へ素早く敷いてやる。
 片腕で腰を持ち上げてタオルを滑り込ませたので、自然とソコが目の前に来る事になった。
 濡れてヒクつく場所に、導かれるように舐め上げてやると途端にキューッと締まっていく。
 舌を尖らせてつついてやると、収縮を繰り返して、いやらしく誘っているように映った。
「はっ……ぅっ」
 誘われるままに指を潜り込ませると、はじめ侵入を拒むように締め上げた後は、すんなりと受け入れてくれる。
 内部は暖かくて、俺の指をもっと奥へと誘い込むように蠢きながら、しっとりと濡れた内壁が絡みつく。

「ああっ」
 指を少し引き抜いて、再び突き立てると良守がイイ声で鳴く。
 忙しく動かしてやると、どんどん感じていくのが見て取れ、楽しくなってくる。

「あ……はぁ………あっ」
 指を増やしながら前を激しく刺激してやると、どんどん淫らに喘ぐようになり、自然と『挿れたい』と思った。
「あっ……もうっ……イクッ」
 良守が警告してくるが、気にせず扱っているとあっけなく俺の手の中で達してしまった。

 荒く息を付きながらも、顔を見られたくないのか横を向き、顔に掛かる髪で表情を隠す。
 隠されれば、見たくなるのが人情というもの。
 顎を捕らえて上を向かせると、潤んだ双眸と浮き上がる汗に上気した肌…そんな良守の扇情的な姿に思わず心臓が止まった。



 こんな姿を他のヤツに見せたのか?
 そう思った瞬間、腹の奥から言いようのない怒りがこみ上げてきた。



「や…やぁっ。痛いっっ」
「五月蠅い」
 準備はしていたとはいえ、良守の中に強引に猛った自身を無理矢理ねじ込む。
 眉根を寄せて縋る手足は白く、傷だらけで…
 可哀相だと思う反面、他のヤツにこんな事を許したのかと思うと、もっと虐めてやりたくなる。
「んぁっ……あ……」
 乱暴に挿れたというに、良守は感じ始めていた。
 腰のくねりや表情、声などでそれが伝わってくる。

 なぜ、最初が俺でなかったのか…
 今まで良守をそう言った対象で見たことなど一度も無かったというのに、俺は猛烈に後悔していた。
 同じ家で産まれ育ち、共に成長し、ずっと側で時を重ねていたというのにっ!
 俺はコイツの何を見ていたのだろう?
 幼少の頃は、良守の方印が正直妬ましかった。
 良守もそれを感じ取って、幼いながらに俺に気を使うのが返って気に障ったものだ。

 だが、成長するにつれてそんな感情は消化できた。印を持つ辛さも、理解できるようになったから。
 それに、烏森は別に1人しか方印を持つ者を選ぶのではない。
 何らかの一定条件をクリアした者に、その印を付けるのだ。良守が俺から何かを奪ったわけじゃない。
 つまらない意地のために、今まで冷たくしてきた事を逆に申し訳なく感じたぐらいだ。

 良守は、いつも俺の視界にいた…。
 なのになぜ、今の今まで気づかなかった?

 俺自身を包み込む良守の内部は、熱くて狭くて…肉棒へは媚肉が絡みつき、時折締め上げては緩み、気を抜けばこのままイッてしまいそうだった。

「あぁ………んっ……ふっ……あっ…あっ…」
 動き始めると、良守の腰が俺の動きに合わせて擦りつけるように身を捩る。
「こんなに、いやらしい身体してたんだな…」
 一体、今まで……何人の男と寝てきたのか。
 その、慣れた仕草に……また胸にどす黒い嫉妬が産まれた。

 両手で腰をガッチリと掴むと、勢いに任せてぐちゃぐちゃに何度も突っ込んでやる。
「ああっ…あっ…あっ…ああぁぁっ……ひぁっ」
 突然の激しい抽送を何度も繰り返す。
「や……あっ……あぁぁっ……」
 良守が散らばった服を握りしめて、必死に耐える。
 その表情は、辛さに耐えているようでもあり、快楽に悶えているようにも見えた。
 タイミングをずらして、急に大きく腰を回す動きに変えてやると、たちまち崩れるように体をくねらせる。

「あっ……あっ……もぉ…イク」
 口から唾液を伝わせながら、そんな事を言ってくるので、俺は良守の根元を念糸でギュッと掴んで締め上げてやった。
「いぁっ……やぁっ………なっ…んで?」
 質問には答えず、たっぷりと内襞を味わう。
「ひぁっ……あぁ……あぁぁぁっ」
 抗議の意味もあるのか、それとも感じているからなのか、良守は一層激しく締め付けてきて、その感覚を貪ることに夢中になる。

 俺がイク寸前に念糸をはずしてやると、良守が凄い勢いで締め上げながら達し、その締め付けに誘われて、同時に内部へと勢いよく放った。
「あ…ぁーーーっ」
 ドクドクと最後まで流し込んでやりながら良守を抱きしめると、だらりとしていた腕が俺の背に回る。
 妖しく見つめてくる瞳は娼婦のようで…。
 俺は、もう…良守を他の奴等に指一本触れさせてやる気は無かった。



 繋がったまま再度、良守を押し倒して、今度はやんわりと腰を使う。
「あんっ……」
 甘い嬌声を聞きながら、首筋や鎖骨の滑らかさを楽しんでいるうちに、再び熱が宿り始める。
「あに…キィ…」
 俺が硬くなっているのを感じると、足を絡ませ、強請り、誘いをかけてくる。
 そんな良守の唇に誘われるように舌を絡め、何度も何度も貪った。

「良守…」
「うん?」

「俺はもう、お前を手放す気はないからな…」
 一度決めた信念曲げる気は毛頭無い。
 良守が体に引きずられるなら、俺以外見えなくなるほど溺れさせればいいまでの事。

「俺を誘ったこと…後悔させてやるよ。」
 そう囁いて、俺は再び良守を組み敷いていくと、良守は満足げに微笑んだ…。



 以前出したコピー本です。
 オフ活動はいつもよりエロを頑張るというコンセプトの元に、いつもとは違った展開です。いかがでしたでしょうか…

 今回サイト掲載に当たって、そのままupは買ってくださっ方に失礼かと思い書き直したら、まっさんが童貞になってしまいましたw
 まぁ、実際まっさんって、目の前にいたら良い男すぎて手を出しにくいと思うんですよね。
 本人は夜行で忙しいので女性に積極的って事はあまりないと思うので、これはこれでありだと思ってます\(^o^)/

2007.7.23 改訂2009.5.25