ブティックホテルとツンデレ定義

「あ…兄貴ぃ…」
「何だ?良守」
車を運転しながら正守が答える。

「何で俺、こんな格好しなくちゃならないの?」
良守はキャミソールの上にTシャツ、下はバルーンスカートに裾がレースのレギンスという格好だ。
「お前がラブホに行きたいって言うからだろ。男同士だと断られる場合があるからね」
「何で?」
「さぁ?汚し方が激しいんじゃない?」
良守は今ひとつ理由に納得行かなかったが、ラブホには確かに行ってみたかった。

街で配られたフリーペーパーのラストの方に載っていたブティックホテルは、白とピンクを基調にした可愛らしいオブジェが惜しみなく飾られ、良守の理想であるお菓子の城そのものに見えたからだ。

「それより…」
正守がそっと良守の耳に顔を近づける。
「可愛いよ良守。脱がすのが楽しみだ」
兄の言葉に良守の顔が朱に染まる。脱がされちゃうんだ…この服…


車はだんだんとホテル街に向かっていく…
するとホテルの前で案内の男性なのか、こちらに向かって90度にお辞儀をし、左手を真っ直ぐに店に伸ばし、右手で左手に向かって誘うように手を振る。

このあたりはホテルが並んでいるらしく、そういった中年のおじさんが何人も同じ動きをしている。
正守はそのうちの目指すホテルへと車を滑らせていった。

誰もいないように見えても、防犯カメラで見られていて、男同士が入ってきたらそこで人が出てきて止められると兄に教えられていた。
良守は車を降りてから顔を見られて男だとバレないよう、兄の腕にしがみついて出来るだけ下を向く。

フロントのパネルに部屋の写真が並び、ランプのついている写真とついてない写真があった。
「どの部屋がいい?」
そう聞かれて良守は困る。下しか向けないからだ、仕方がないので一番下のパネルを指さした。
「ランプの消えている部屋は使用中なんだよ」
え…そうなんだ。

「この部屋どう?」
「わぁ…」
兄の指さす部屋に感嘆の声を上げる。
それはまさしく良守が理想とする、お菓子の家の内装だった。
「うんうん。これがいい」
良守がコクコクと頷くと、正守は少し笑いながら部屋のボタンを押す。

カチャリと出てきた部屋の鍵を持ってエレベーターに向かう。
これでもう、多分誰にも会わなくてすむ。
こういうところは、入り口と出口は別になってるって、さっき車の中で兄に教えて貰った。
顔を見られて男だ…って言われなくてすむかと思い、良守はホッとする

エレベーターが空いて安心した所に掃除のおばちゃん達が4人手前の部屋から掃除が終わったのか出てきた。

良守が緊張していると、おばさん達はけっしてこちらの顔を見ないように下を向き、ささ…と良守達が下りたエレベーターに乗り込んで行った…

「すごい…俺の顔みなかった…」
「不倫なんかも多いからね。教育されてるんだろう」


「うわぁ…」
部屋にはいると大きなベッドが目に入る。でも、そのベッドに付いている飾りが何ともメルヘンチックで良守好みだ。
うわぁ…可愛い。あれ、お菓子で作れないかなぁ…などと考えていると畳一畳は有るんじゃないかという巨大なテレビが目に入る。
「わぁ…ゲームが置いてある」
こんなでかい画面でやったら楽しいだろうな…良守が目を輝かせて部屋を探検してると、ベッドに近づいたところで正守に肩を抱かれる。

「あ…シャワーとか浴びるんじゃ」
「そんなことしたら…脱がす楽しみが無くなるだろ」
くっくっ…とのどの奥で笑いながら良守のキャミの中に手を入れる
「それに…お前の匂い好きなんだよ」

情熱的に首筋に口づけながら、大きな正守の手が良守の肌を這う。
胸にたどり着くと、ふくらみのないソレを揉みながら、ゆるゆると突起に触れる。
「あん…」
「感じる?」
聞かれて素直に頷く。

こんな関係になるまでは、兄に冷たい態度ばかりとっていた。
だからせめてこんな時くらいは、素直に気持ちを口にする。
はずかしいけど…

「んあっ…」
兄の暖かい大きな手があちこち這い回る。
「こうしている時は、素直なんだな…」
「だって…」
今までが今までだったから、こんなふうにいつもと違った雰囲気がないと甘えられない…



「ふーん」
正守の言葉に、良守がなんだろう?と兄を見ると唇にそっと人差し指を当てられる。
「良守ってツンデレだねぇ」
「え゛?!」
予想もしないセリフに声が裏返る。

「最近流行ってるんだろう?」
どうなんだろう?今も流行っているのだろうか?なんかカテゴリーとして定着してしまったような気もするが…
「初めて聞いたときには、そんなのの何処が良いんだろうって思ってたんだけど…」
「あっ…」
良守の敏感な部分に、正守の指が滑り込む。
たまらず正守に縋り付くと、甘えるように身体をすり寄せてくる

「確かに可愛い…」
「ん…やぁん」
正守の意地悪な指の動きに、良守は甘えながら抗議する。

「俺にだけ見せる、こんな姿…って思ったら。なんだかゾクゾクするな」
「え?…あ」

良守を俯せにして、腰だけを高く上げた状態でゆっくりと挿入していく。
「う…んっ」
上から見下ろす良守は、肩を奮わせてじっと耐え忍ぶ。
その姿が溜まらなく可愛い…

そこに意識が集中している良守の背に、ちゅっ…と唇を落とす
「ああ…んっ」
ちゅっ…ちゅっ…と背中に紅い花を散らしてやると、そのたびに良守の背が跳ね、締め付ける。

「可愛いよ。良守」
すべて納めきると仰向けにして睦言を囁く。

「女の子の服もいいね。」
言われて良守は少し不機嫌そうに視線をはずす。

「中身が良守じゃなきゃ意味無いよ。」
「え?何で考えてることがわかるんだよっ」
その反応があまりに可愛くて、愛おしい…

「また来ようね。」



兄貴っっっ萌えか?良守に萌えたのかーぁぁぁ…管理人もデスw

「え?何で考えてることがわかるんだよっ」
↑わかるよね普通…良守レベルならw

この話、女装した良守を脱がして楽しむつもりで書き始めた話なのに、なんか違うな…なぜだろう。
一体、何処で道を踏み外したのか誰か教えてください。
いやマジで…そして管理人をまっとうな人生に戻してください。
え…ちょっと、そこのお嬢さん「手遅れ」とか言わないで…orz

よくわかる解説
・ブティックホテルで男同士が断られるというのはガチです。(※現在は、わりと入れるようである。2008/07/15)
ちゃんとウィキペディアにも書いてありますよw↓(外部リンク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB

・大阪のホテルだけかもしれないけど車で通るとあの様に手招きするのも本当に実際あった話です。
会社の人と車で通りかかった時だったのですが、うっかり入っちゃいそうな感じですw
あの動きには催眠効果でもあるのか?びっくりしましたw
ホテル街だなんて知らなかったんだぁぁぁ…もちろんそのまま帰りましたよ

エレベーターで鉢合わせたら従業員は下を向くと言うのも本当。
腰を低くしてさささーっと行っちゃうそうです。
全部が全部かは知りませんが…だって基本的には、そもそもそう言うことが無いように配慮されてる場所ですから。

2007.5.15