DreamMaker1 変換処理終了! --------------------------------------------------------------------------------

帰り道

地下鉄の発車音楽が鳴り響く
「わぁっ待って」
良守は脚にまとわりつくスカートを蹴散らしながら、全速力で階段を駆け下りる。
プシューッ
「あっ…」
間一髪間に合わず、電車の行ってしまったホームに立ちつくす。
「はぁ…」
とのデートの帰り道。
早く帰らないと…
良守は、先程までの情事の余韻が残る身体で電車を待つ。

ぼんやりと時間が過ぎる。
かっこよかったな。俺のこと凄く大事にしてくれるし、何かすごい幸せ。
二人で過ごした時間を、少し照れながら思い出していると、携帯電話が鳴り響く。
「わぁ」
周りには誰もいないけど、慌てて電話を探して鞄を漁る。

あった。
指先の感触を頼りに携帯電話を探り当て、慌てて出ようとする。
「えええっ」
良守は勢い良く取り出したそれを慌てて鞄にしまう。
携帯電話は未だに鳴っている。
ななななな…なんでこんなもんが・・・・
取りあえず電話を改めて探り当て、電話に出る。
『あ、良守』
「父さん」
『少し遅いから心配になっちゃって。大丈夫かい?』
「あ、うん。もう帰りのホームに居るんだ。もうすぐ帰るよ」
『よかった。じゃ、駅まで迎えに行くよ。』
「え?いいよ。」
『だめだよ。もうすぐ暗くなるし、女の子一人じゃ心配だからね』
「烏森には毎晩行ってるのに、変なの」

自分の可愛らしさには無頓着な良守はどうも、自分が危ないというのが実感がないらしい。確かに身を守る術なら十分すぎるほど身につけている。
それでも、怖い思いをさせたくないと言う親心なのだ。
『とにかく、迎えに行くから。気を付けて帰ってくるんだよ』
「うん…」

電話を切ってから、良守は当たりを見回した…
先程、電話に出る前に間違って出してしまったものを、周りに見られていないか気になったからだ。
…とりあえず、こっちを見ている人は居ないようだ。
良守はホッとしながら電車を待つ。

まてよ…先程のアレはもって帰るのはまずい…もし、家族に見つかったらなんて言い訳すれば…。今ここで始末するしかない…
これってやっぱが悪戯で入れたんだろうな…そう思うと先程の甘い気分など吹き飛んで怒りと恥ずかしさがこみ上げてくる。

プラスチックで出来たソレはコントローラーで、本体はすこし弾力のある素材で出来ていた。形は男性のシンボルを象っているソレは、一般的にバイブと呼ばれていた。
(しかもスケルトン仕様、回転パール内蔵(笑)。透明で中身の玉が回って刺激になるというものです)

幸いホームには殆ど人影はない…。良守はゴミ箱に近づいて、素早く捨てることに成功した。
しかし、捨てるときにコントローラーのコードがスイッチを弄ったらしく、ゴミ箱から怪しい振動と共に何やらこすれるような音が…(中のパールが動く音)
地下鉄だけに電車が通らないと静かなものである…

良守は素早くゴミ箱から遠ざかって知らん顔を決め込んではいたが、暫くすると通りがかった女性が不信に思い、駅員に通報してしまった。
駅員は慌ててホームの客に避難するように誘導すると、ホームの柱に付いていた電話から「不審物」と伝えたらしく、警察だか爆弾処理かなんなのか、黒い制服を着た人達が何人もホームに入り、駅は立入禁止、電車もストップ。大騒ぎになってしまった。

良守はただ、ただ、今更「それはバイブです」等と申告できるはずもなく、事の成り行きをただ、呆然と黙ってみているしかなかった。



暫くして、安全と判ったのか立入禁止は解かれた…。
良守が胸をなで下ろしていると電話が鳴った。修史だった。
『良守っなんかそっちの駅で爆弾見つかったって、大丈夫?』
「ああ、うん。もう大丈夫みたい。電車来るみたいだから切るね」
心の中で父さんゴメンナサイ。と詫びる。俺がバカでした。



駅に付くと、父が心配そうに待っていた。俺は連絡用に借りていた父の携帯電話を返し、自分が関わっていた事を隠して有ったことを話しながら帰った。

数日後、から電話があったが、居留守を使い。顔を合わしてもブイっと無視してやった。
ばかばかっ…もうキライ!!



乙女ロード一直線な良守…ギャグとしてかるーく流していただけると助かります。

2007.5.3

2007.5.9