真面目な時音とずっと一緒に

ベッドに入って、大好きな惰眠を貪ると、起きたときには夜になっていた。

「おはよう。良守」
目を開けると、時音が俺の隣で寝ていた。
「あ…おはよう」
ドキ…心臓が止まる。
俺が起きようと身体を動かすと、時音が裸なのに気が付いた。
そう言えば俺も身体を拭いただけでそのまま寝たんだっけ。

やっぱ時音、綺麗だな…
「しよっか」
「へ?」
顔に出てたのかな?
でも、別にしたいとは思ってなかったんだけどなとか考えていると
にっこりと笑って唇が寄せられ、そのまま自然に押し倒されてしまった。

「……俺、上やるよ?」
「ダメダメ☆たっぷり満足させてあげなくちゃ」
押し倒されてばかりじゃ、男として情けないだろう…良守はそう提案したが時音はさらっと返されてしまった。

「いや…もう、二度とあんなこと無いって…」
「もちろんよっ」
なぜ、そんなにテンションが高いんだ…
時音は何かジェル状の液体を取り出し、俺の秘部へ手を伸ばし中に塗りつけた。
「え…ちょっ」
「気持ち良ーくなるんだって。たっぷり塗ってあげるね」

「ん…っ」
クチュ…と粘着質な音と共に塗り込められる。
奥に塗られた感じが何か変…と、俺がソコ気を取られている間に首筋に舌を這わされる。
慣れた身体は、たちまち期待感から情欲に染まる。

「はっ…んぁ……」
時音の愛撫が、いつもと違う。
何度も同じ相手と肌を重ねていると、手順のようなものが大体決まるモノだが、今日の時音は明らかにいつもと違っていた…

足を…舐めているのだ。
特に足の指の間に念入りに舌を這わせ舐め上げる。
「ちょ…時音。そんっな…所、汚いよ」
時音は視線をこちらへチラリと向けて、かまわず愛撫を続ける。

昼にシャワーを浴びたのだから、別に汚くはない。
でも、そんな所、自分でも気にしたこともなかった。

なのに…
「や……ぁ」
指の間に舌を這わされると、さざ波のような感覚が腰まで響き、背骨を通って肩まで震えが走る。そんな所に性感帯があるなんて、自分でも知らなかった…。
そんな俺の姿を見て、時音は満足げに微笑む。

時音の舌が、指の股に押し込まれるたびに堪らなくなって逃れようとするが許してくれない。
いつも上から降りていく愛撫が、下から攻められる驚きと無防備なところを何度も丹念に触れられる丁寧な触れ方に、すぐに感じてしまう。

「は…あっ…」
「もう欲しいの?」
すっかり勃ち上がった俺を見て、時音が聞いてくる。
そんなの恥ずかしいよぉ…殆ど足の指しか舐められてないのに、もうすでに先走りの蜜までたらして、後ろもなんかムズムズしてる。

本当におかしかった。いつもならもっと耐えられるのに、今日はすぐに音を上げてしまう。
俺、男なのに。
情けなさに目を閉じると、時音は足を離して近づいてくる。
「さっきのお薬が効いてきたのよ。恥ずかしがらなくて良いのよ?」
さっきの?…あ、そう言えば最初にジェルを塗られたっけ…あれってそう言うモノだったんだ。
「恥ずかしがってる良守…。可愛い…」
「んぁっ……」
時音の指がつぷりと埋められる。細く器用な指がくるりと中を探り、俺の一番良いところに触れる。
「あっ…」
俺の動きを見ながら指を動かしているようで、乱れる姿を時音に見つめられ、いっそう羞恥を煽る。
「やだっ…もぉ…」
俺だけが乱れているのが耐えられなくなってくる。

俺があんまり恥ずかしそうにしているので、時音は俺の手を取り、自ら内腿へ導いていく。
…時音も感じてくれてるんだ。
少しホッとして時音の一番感じるところに触れる。
「あ……ん。ダメよ、悪戯しちゃ…」
ええ?時音は散々俺にこんな事してるのに、俺はダメなの?
軽くショックを受けて時音を見ると、「ぷっ」と笑う。何が面白いのかと思ったら
「良守って考えてることがすぐ判るのね。」
「悪かったな」
何か時音ばっかり余裕があって、何かムッとなる。

「良守を気持ちよくしたいの。だから…今はダメ」
そう言って俺の手を取り、両手で包み込んで見つめてくる
「お願い」
「………」
時音にこんな風にお願いされては、良守に断れるはずがなかった。


良守が大人しく横になると、またバッグから何か取り出した。
今度は黒い小箱だった。
「ちょっと待っててね」
そう言って小箱を開ける。

瞬間

箱から何か肌色をしたスライム状のものが飛び出して、時音の腹に襲い掛かる。
「時音っっ!!」
吃驚して跳ね起き印を結ぶが、それを時音が制止する。
ギュルッ…と嫌な音を立て腰に巻き付いた時、時音の顔が苦痛に歪む。

「時音…」
心配するが時音は「大丈夫。少し痛くなるのよ…」と、もう涼しい顔をしていた。
時音の腰に巻き付くソレを心配してみていたが、やがて良守の思考が止まる。

「え?………なに……それ」
時音に…どう見ても男性器が生えていた。
「黒芒楼が使っていた人皮覚えてるでしょ?それを改造したんだそうよ…」
え?えぇ?
ちらりと箱を見て取ると、なんと墨村家の家紋が入っていた。
俺が食い入るように家紋を見つめていると、時音に肩を押され、押し倒されてしまった。

そのまま足を持ち上げてジェルを仕込みながら挿れようとするからギョッとする。
「なっ!!ちょっとっ」
思わず腰が逃げる。
「逃げないで、優しくするから大丈夫よ」
「そんな問題じゃなくてっっ」
デカイ…

この大きさは反則だろ。昨日見た兄貴のも立派だとは思ったが、ソレを上回るような大きさだ。あんなもの突っ込まれたら…

恐ろしさに動けなくなった俺の腰を掴み、ソコにあてがわれる。
体中が緊張するが、目を閉じて覚悟を決める。
今まで、本当に嫌なことは時音はしてこなかった。だから…


ゆっくりと秘部を押し広げながら、未知のモノが体内に埋められていく…
「ふっ……ぅ」
今まで経験のない大きさで、ギリギリって感じがするのに、時音がゆっくりと腰を進めるたびに何とか奥へと飲み込んでいく。

「あっ…あっ………ぁ」
頭の中が真っ白になる。
「痛…ぃ……ぃっ」
痛みに耐えながら時音に縋り付いて何とか耐えていると、時音は動きを止めて目尻に浮かぶ涙を舐め取ってくれた。
「はっ……ぁ」
息の上がる俺に、時音はそっと囁いてくる。

「大丈夫。良守は気持ちよくなれるの知ってるよね?」
幼い頃から俺を諭すときの声のトーンに、コクリと頷く。
時音は小さい頃から色々なことを教えてくれた。
そして、時音が教えてくれる事に今まで間違いはなかった。

「だから、頑張ろう?もう少し我慢したら、きっと良くなるから…」
「うん…」
時音の首に手を回しながら返事をして抱き合う。

それでも腰が少し進められると、どうしても強ばってしまうが、時音が指や舌で愛撫しながら気を散らしてくれる。
「感じる?」
不意に問われる言葉に、素直に肯定の返事を返す。
「そのまま感じて…力を抜いていて」
言われたとおり愛撫に集中して力を抜くと、何とか時音を収めきることが出来た。

半分気を失いかけていたので、ホッとする。
「良守」
やさしく自分を呼ぶ声に導かれるように返事をする。
「とき……ね…」

自分でも驚くほど甘えた声を出して時音を抱き寄せると
「こんな所は昔のままね…」
と、言いながら頬にキスしてくれた。

「良守の中、熱くて気持ちいい」
言われた言葉に反応する
「わ…か……るの?」
「うん」

「動くわよ」
耳元で囁かれる声に
抱き寄せる腕に力を込めることで応えると、時音がゆっくりと動き出した。

「あ…あ……ん」
俺…すごく変。

俺の方が男なのに、時音にこうされると堪らなくなる。
疼くような快楽が奥を擦られるたびに強くなって、その衝撃に意識が白濁していく。

こんなに感じたのは生まれて初めてで、夢中で時音にしがみつきながら、とろけていく自分を止められない。
「あ…ぁん………はぁっ……あっ…あ」
時音の動きに合わせて腰を振り、貪欲に快楽を追い求めているうちに、いつしか自身を手放した。




■■■■■




数日後。
「婿殿、食べこぼしが襟に付いていますよ」
「あ…っ、すみません。」
朝食時に時子さんに注意され、首元を確認して取ろうとしたら、隣に座ってる時音がそっとティッシュで取ってくれた。
「ありがと…」
「いえいえ」
時音がにっこりと微笑みかけてくる。う…なんか幸せ。
あれから時音はとても優しくて、毎日幸せに過ごしていた。



「よぉ」
朝食の後、庭で洗濯物を干していたら、隣から聞き覚えのある声がした。
「………兄貴」

「そう、嫌そうな顔するなよ。」
墨村家と境になっている塀の上から、結界を作りながら兄貴が降りてくる。
「なんだよっ近寄んなっっ」
俺は洗濯物で牽制しながら距離を取る。

「つれないなぁ…あんな淫らな痴態をさらけだして、俺に絡みついてきたくせに?」
「わぁっ…!!」
慌てて兄貴の口をふさぎに行くと、あっという間に捕まってしまう。
「お前って本当にちょっと思慮が足らなさすぎるんじゃない?それとも誘ってるのかな?」
「誰がっっ」
肩に担ぎ込まれてしまい、このままでは本当に連れて行かれそうだ、俺は手足をバタバタさせて暴れる。
「じゃじゃ馬だねぇ…」
「はなせーーーーーーっっ」
兄貴の足に結界を作って足止めするが、すぐに壊されてしまう。
俺が逃げられないと悟り、青くなり始めたとき…

バサッ…
ハトが、兄貴の肩に舞い降りる。時音の式神だった。
時音の助けにホッとするのも情けないが、式神の出現に少し冷静になれた。

「兄貴…」
担がれたまま兄貴に話しかける。
「何だ?」
「俺、時音が好きだ。」
自分でも情けない格好だと思うが、修行が足らないのだから仕方がない。
「兄貴には悪いけど、俺…時音以外考えられないんだ」

そう言うと、兄貴はストンと俺をおろしてくれた。
「もしかして、俺より気持ちよかった?」
「 !! 」
質問の意味を理解して、顔が真っ赤になる。そ…そんなこと聞くなよ…
あまりに恥ずかしさに、思わず俯く。
「まいったな…」

何が、まいったんだろう?兄貴の顔をそっと見上げると、案外穏やかな顔をしていた。
「完敗だよ、時音ちゃん。」
え?え?兄貴は、時音の式神に向かって話しかけていた。
「良守、俺帰るわ…」
「え…あ、うん」

「母さん直伝のテクじゃ、太刀打ちできそうもないからね」
「え?え?ええぇぇ?」
どーいう意味なの?ソレ…いや、しかし考えれば辻褄が合う。
あの鞄はウチ(墨村家)にあったものだし、小箱には墨村家の家紋が入っていたわけで…

雪村家の庭には、干しかけの洗濯物と
混乱のあまり固まってしまった良守が残されていた…



■■■■■



RRRR…… RRRR………
電話のベルが鳴り響く。

スルスルと黒い衣装を着た女性が、大きな椅子に座る人物の元へ電話を運んでくる。
「なんだ、守美子君かね」
「あら、松戸先生ったら、ご挨拶ね」


「先生、この間お作りいただいたペニスバンド、義理の娘にプレゼントしてしまったので、もう一本お作りいただけます?」
松戸は電話の内容に少し驚く。
「なーんと、まぁ…義理の娘というと時音君かね、と言うことは良守君が使われているのかな?クックックッ…お盛んだねぇ。」
「まぁ…詮索だなんて、イケナイ先生」

「ま、私は代金さえもらえばかまわんよ。いつものように取りに来てくれたまえ」
「ええ、宜しくお願いいたします」
「ああ、それから他にも色々、新作を作ったんだよ。取りに来るときにお見せしよう…」
「まぁ…それは楽しみですわ」

それでは又…と、電話は切られてしまった。
「クックック…では、これからは良守君用のも作っておかないとな」

それは、誰もあずかり知らぬ秘密の取引



■■■■■



「あぁっ……ん。ときね…、もっ…と……」
さんざん触れられて、過敏になった肌は次の刺激を求めてやまない。
「もっと、どうして欲しいの?」
な…なんでわざわざ聞くんだよ…どうして欲しいかなんてわかってるくせにぃ…
ひょっとして、兄貴が来たこと怒ってるのかな?

「も……もっと、気持ちよく…してっ」
恥ずかしさに何とか耐えながら、やっと言いにくいことを口にする。

すると時音は機嫌が良くなったようで、ふふっ…と笑った。
「かわいい。良守」
か…かわいいとか言われても…俺、男だし…

しかし、こうして時音に組み敷かれていては何とも説得力がない
俺が困っていると
「ずっとずっと、私のだからね」
って時音が言うから…、俺は何だか嬉しくなって
「うんっ!!」
と、元気良く返事をして、時音に抱きついた。


どうか、これからもこの人と…ずっと一緒に過ごせますように。






7作にも渡る「真面目な時音シリーズ」いかがでしたでしょうか?
読んで下さった方、有り難うございます。

時間掛かりました。
でも、他の作品より時間掛けてますので多少状況とか細かく説明できたと無理矢理にでも良い所を探してみる…

作中にでてきたペ○スバンドですが、通常ではバイブが腰の位置に固定されるだけですよ。←そりゃそうだ
 今回はお話では人皮改造版って事で、神経も通る設定になってますが、設定を生かしきれてませんね…
 レズむけの商品のようですが、少数ながら男性でそう言った欲求持った人もいるようです。つまりこの話の良守や修史さん?

兄貴が今後ちょっかい出してくるかは不明。
でも、2人にはずっと幸せでいて欲しいなと思います。

2007.6.25



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