志々尾

待って…
待ってくれ…

逝かないで
お前には借りがまだいっぱいあるんだ。
俺は、まだ何にも返せてない…

もっと…もっと話したいことがいっぱいあるんだ。
俺、ずっとお前と仲良くやっていけると思ってた。
頼むから…こんなふうに、いきなりいなくならないでくれ

幸せそうに笑いながら、冷たくなっていくお前をただ見てることしかできない…
どうして笑ってられるんだよ?

本当は…俺が笑わせてやりたかったのに
楽しいこと、きっといっぱいあったはずなのに…

生きてさえいれば…ずっと…一緒に笑ってられたのに






あれから一週間が過ぎた…


お前は転校したことになったんだな…
あんなにモテたのに、もうお前の噂は聞かなくなってしまった。

今日、隣のクラスを覗いたら、お前の机と椅子も無くなってて…
こうやってお前の生きていた証が消えていくようで寂しいよ…

せめて…敵はとってやるからな…。
火黒は俺が倒すよ。 

もう、俺がお前にしてやれることはそれしかないから
せめて、そのくらいはさせてくれ… 

お前には何にもしてやれなかったから…
借りだって何一つ返せず…

お前のために出来る、たった一つ残された俺がしてやれること…
もう、それしか残ってないから。






2週間が過ぎた…


火黒は倒したよ。 

でも、いざ倒してみると、それが正しかったのかどうかが判らなくなってるんだ。

俺が無茶したことで、沢山の人が心配してくれていることに初めて気が付いた
お前も、気づかなかったんじゃないのか? 

ちゃんと教えてやってればよかった。 

そしたら………
あの時、烏森の死を受け入れたりしないでくれたかな?






俺は…いつもの日常に戻ってケーキを作ったりしている。
でも、しまったな。

お前の為にビターチョコケーキ作っちまった。
俺の周りって甘党ばっかりだから、このケーキを食べてくれるのお前くらいだったのにな。






今まで通り屋上で昼寝したり、友達と馬鹿やったりして毎日が過ぎていくよ。

ただ、何処へ行ってもお前に会えない…
違うのはそれだけなのに、どうしてこんな気持ちになるんだろうな

お前が来たときは、偉そうなお前が気に入らなくてイライラしてたのに 
今は…何処へ行ってもお前の事思い出すよ。 


振り向いたらいるんじゃないか…とか、屋上に行けば会えるんじゃないか…って

俺、まだお前がもう居ないだなんて信じられない

出会ってそんなに一緒に過ごしたわけじゃない

それなのに、思い出は沢山あるんもんだな…

こうやって屋上で寝てると、お前がやってきて
だまって俺の側で横になるんだ…

昼寝からふと目が覚めると隣にお前がいるのが当たり前すぎて…
だから、お前の寝る場所はいつも空けてあるよ
早くここに来いよ…

夢から覚めたとき、一人でいるのがこんなに寂しいと思うのはお前のせいだぞ

責任取れよ








3年生になった…


時音は高校2年生だよ。
知ってるか?影宮達が来たんだよ。
お前の代わりなのかな?

一瞬、影宮とお前を見間違えちまった。
本当なら…こうやって側にいるのはお前だったはずなのに






最後に満足だって言ったよな…

今はどうしてる?

寂しくないのか?

今も満足してるのか?

今なら…話したい事がこんなにいっぱいあるのに…
会いたい。

こんなに会いたいのに、もう2度と会うことが出来ない。
どうして俺、お前にちゃんと好きだって言っておかなかったんだろう。

もし、伝えていたら……

今頃、お前は…俺の側にいてくれたのかな…
なんか突然思い立って1時間くらいで書きました。 

2007.7.10