situation【シチュエーション】

良守はいつもの屋上の定位置で、my枕の柔らかさに包まれていた…。
ふあぁぁぁ…。
「お昼だ。教室に戻らなくちゃ」
良守はひらりとスカートを翻し、教室へと向かう。
途中で式神と入れ替わり、教室の扉を開けた。
ガラッ

…あれ?
「良っちゃんどうしたのー?」
「え?あ、ううん。何でもない」
友達の神田百合子が声を掛けてきた。

おかしいな。
何だろうこの違和感…
いつもと違う教室の雰囲気。そして…俺はいつもこんな制服を着てたっけ?
着慣れているはずのセーラー服を見て良守は多少疑問に思った。
「ねーねー良ちゃん」
「ん?」
一人考え込んでいると百合子が深刻な顔で話し掛けてきた。

「知ってる?キヨコさんが現れたんだってー」
「え!」
慌てて当たりを見回す。…しかし、何が違うのか判らない…
取りあえず見つけなければ…
教室に入ったとき、確かに違和感を感じたからだ。

良守はキヨコさん探しに、教室の外へ出……ようとした。

「良守。授業中だぞ」
聞き慣れた声に振り向いて、我が目を疑う…
ゴシゴシと目をこすってもう一度目を凝らす……が、見間違いではなかった…。

…何故あそこに正守が…
そこには教卓で白衣を着て立つ正守の姿があった…



「よ…よぉ。……おいってばっ」
「なんだ?良守。先生って呼ばなきゃダメだぞ」
「何が先生だ。つか、なんでこんな所にいるんだよ」
「さぁ?俺が教師だって思いこませる人が居るんじゃない?」
キヨコか。

「だからって何で教師やってるわけ?思いこまれててもやらなきゃ良いじゃん…」
「いやぁ…懐かしくてついね、それに良守に会いたかったし」
相変わらず何てつかみ所の無いヤツなんだ…
会いたいって…夜やってきては俺のこと好きにしてるくせに…

俺は正守を無視して教室を後にした。
キヨコのやつ…正守を教師だなんて…何考えてんだ。早く見つけなければ…


俺は学校中を探し回った。式神を放ち校内をくまなく!!
前回のように屋上で待ってもみた。

しかし、来なかった…orz
キヨコってどうやって隠れてるんだろう…
明日又探すか。


■■■■■


次の日
「また、あの変なポーズで挨拶するの流行ってんのかなぁ…」
良守は重い足取りで教室のドアを開ける…すると…

「その色かわいー。付けさせてー」
「その香水どこのブランド?」
きゃあきゃあ…と、教室に華やかな雰囲気が広がる。

今回はみんながお化粧している…。
「市ヶ谷結構にあうねーメモメモ」
だ…男子まで。
「良っちゃん。どうしてすっぴんなの?」
「どうしてって…」
神田百合子が不思議そうに聞いてくる。
あんた霊感有るんだから、ちょっとぐらいおかしいと感じろよ…
「そんなかっこうしてたら笑われるよ。ほら、こっち来て」
「いや…もう笑われて良いよ俺…」
「そんなのダメよ」
「ほらっ」
そう言って俺に化粧を施す…前回俺だけやらなかったせいで笑われたので、今回は大人しく溶け込んでみる事にした。

「か…可愛い」
「へ?」
神田の感想にすっとんきょうな声をあげる。
「きゃー可愛い良っちゃん」
「本当。どうして普段化粧しなかったのー?」
「いや…その…」
一斉に囲まれた女生徒に困っていると正守がやってくる。
か…可愛いのか?俺
「よく似合うじゃん」
「うるせー」

そっと兄貴に耳打ちする。
「キヨコ何処にいるのかしらねーのかよ」
「さーね」
調べる気無いなこいつ…
「もういい。自分で探す」

今日も校内をくまなく探すもやはり見つからない…
良守は途中でトイレに行きたくなった。

ごそごそ…
あれ?……………なんで俺、立って
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ」

ドドドドドド…廊下からすごい勢いの足音が近づいてくる。
「あにきーーーーーーーーーっ何で俺、セーラー服なんか着てるんだよ」
「あ、気づいちゃった?可愛いからいいじゃん」
「いいわけねーだろ、この状況も兄貴の仕業だな…」
良守がプルプルと怒りに震えているというのに…正守は
「あ、今頃気が付いちゃった?」
と、満面の笑みで答える。
「ふざけんな!結ーーーーーーーーーっ」
俺は渾身の力を込めて兄貴の頭に向かって結界をのばした。
ドォン
そこには兄貴の絶界が…どうするんだよ。壁や教卓が無くなっちまったぜ…
「じゃ、後宜しく」
「ふざけんな。直してけーっっ」


振り向くとクラスメイト達が良守を見つめていた…
「あーあ、失敗したんか。あかんなぁ」
「キヨコ!」
良守はここぞとばかりに念糸を伸ばす。念糸はたちまちキヨコを捕らる。
「こら、そないに粗末にあつこうたら、あかんでゴワス」
「う・る・せ・え・よ」
ギリギリと念糸を締め上げる。
「早くみんなに家に帰って忘れるように暗示をかけろ」
良守がぼそぼそとキヨコに耳打ちする。
「嫌やな。折角おもろなってきたのに、まだ告白してへんやんか」
「告白??何の話だ?」
「もうちょっと暗示かけとったらお前が正守はんに告白するはずやったんや」
「…」
良守は開いた口がふさがらなかった。なおもキヨコさんの話は続く。
「お前ら結界師はなかなか暗示に掛かりにくいねんけどな、正守はんがまじないかけたらお前、いそいそとセーラー服着て、ホンマおかしかったわぁ」
そう言ってケラケラと笑う
「何で…俺がそんなことしなきゃならないんだよ。つか、なんで兄貴は名前で呼ぶのに俺は『お前』なんだよ」
「………貫禄かな」
念糸で逆さにしてやると、キヨコさんは「判ったがな」と言ってクラスメイトに忘れるように暗示をかけて家に帰した。

取りあえず兄貴の絶界の後を修復して、キヨコに「もーくんなよ」と釘を差して帰路についた。


家につくと、兄貴が家で待っていた。
「ひょっとして、そのセーラー服は今日で見納め?」
「当たり前だーーーーっっ!!学ラン返せっ」
俺はセーラー服を脱ぎ捨て、私服に着替えた。
「可愛かったのに」
兄貴は残念そうに学ランを返してくれた。
「一体何考えてるんだ兄貴。気は確かか?」
何考えてるのかさっぱり判らん。
「あの格好で『兄貴大好き』とか言って貰おうと思ってたのに残念だなぁ」
「ぜってー嫌だーっっ」
俺は、対兄貴用の結界を張った。
「あっちいけ。もー触らせない。べーだっ」
「べーだって…面白いね良守。はいはい。退散しますよ」

「…え」
「ん?」
「なんでもねーよ」
そう言って、墨村家を後にする。こんな結界簡単に破れるはずなのに

兄貴はそれっきり良守の前に姿を現さなくなった。



■■■■■


1週間…
2週間…

流石にこれだけ来ないと心配になってくる。
怒りすぎたのかな…制服は着てたんだし…少しぐらいしてやってもよかったかも…

電話してみようかな…でも、今更…


しかし、2週間もしてないと正直身体も、もやもやしてくる。
兄貴は平気なのかなぁ…………俺以外に相手が居たりして…
だから我慢できるとか…
あ…どうしよう何か落ち込んできた…

自分の想像なのは判っているが、離れていると心配になる。
こんなに間が空いたことは一度だってなかった。

ひょっとして…俺に飽きちゃったとか…
結界で拒否ったの…そんなに嫌だったのかな

今頃…誰かといるのかな…。
なんか涙が出てきた。

「何泣いてるの?」
「わぁっ」
吃驚したけど、そこにいたのは兄貴だった…
「あにきぃ…」
俺は素直に兄貴に抱きついた。
意地なんて張ってたって、結局つらい思いをするだけだ…それに…もし、兄貴が別の人を好きになったら…って思ったら。
俺の意地とかプライドなんかいい…兄貴に側にいて欲しい。

「ごめんなさい。もー嫌がらないから」
「何が?」
俺は無言でしまってあったこの間のセーラー服に着替え、兄貴の前に立つ。
「兄貴…好き。だから、居なくならないで…」
殆ど泣きじゃくりながら兄貴にしがみつく。

兄貴は、おやおや?と俺の顔を覗き込み、キスしてくる。
軽い物だったのが徐々に深くなる…いつもの兄貴のキスにホッとする…まだ、俺の事好きでいてくれる?
「!」
兄貴の手がスカートの中をまさぐる。
俺のこと、飽きたんじゃないの?
「んっ…んぅっ……はぁぁっ」
スカートの中で堅くなるそれに正守が触れたとき、良守は震えながら吐息を漏らす

「どうせならリクエストに応えてくれる?」
「リクエスト?」
制服だけじゃダメなのか?と、こちらを見ている良守の腕をつかんで頭と脚をひっくり返す。
「わぁ」
スカートをめくって下着を脱がせ、良守の秘部に舌を這わす…
「や…あんっ」

すると俺の前には兄貴のアレ…が目の前にくる。遠慮がちにそっと触れると。
「舐めて」
と、お願いされてしまった。
仕方がないので下着から取り出して、可愛らしい舌でチロチロと愛撫する。

兄貴が内部に指を深く埋め込んできたので、その動きが止まる。
内壁を刺激してされる度に動きが止まってしまうが、吐息を漏らしながらも、何とか懸命に舌を這わす。
こうすることで、兄貴に気持ちを伝えたかった。

「俺…っ、兄貴の…こと、好きだから。あ……っ飽きられないように、頑張るから…」
何とかそれだけは伝えたかった。
こんなに兄貴のこと好きになるなんて考えてもなかった。

「こんな可愛いのに、飽きるわけないだろ」
「あっ…」
兄貴がすっかり起立して塗れてしまっている、俺の男の子に触れる…
「はぁっ……ぁ」

俺を高める兄貴の指や舌の動きに、愛情を感じた。
不思議だ…ただ、それだけなのに、俺は変に兄貴に愛されてるって実感したんだ。

お返しのように兄貴を口に銜えこむ。
含みきれない根元は、両手で刺激して兄貴にも気持ちよくなってもらいたかった。

なのに、兄貴の愛撫に一層熱がこもるのでだんだんソレどころではなくなってきた。
「ふっ…はぁぁっん」
「良守。自分で挿入れてみてよ」
「え?」
何か今、凄い事要求されなかった?



「騎乗位だよ。やってごらん」
「うそ…俺やったこと無い…」
「もし、そんな経験もしあったら相手の男、殺すよ。」
そのセリフに青くなる。兄貴ならやるだろうな…

仕方がないので、のろのろ体を起こし、兄貴にまたがる。
手を添えてゆっくりと腰を落として行こうとすると…。
「良守」
「?」
「それじゃ見えないな」
スカートがすべてを隠す。「どうせなら見ていたい」と、スカートをめくり、一纏めにして手に持たせる。

「よく見えるよ」
「…変態」
言いながらも兄に見えるように腰を落としていく。
下腹部に意識が集中している時に胸や脇腹に触れて邪魔をする。
そうやって俺を困らすのが楽しいらしい。

「いじわる…」
「お前が可愛すぎるんだよ。虐めたくなる…こんな風に」
「あっ」
下から突き上げてられて、崩れそうになるのを何とか頑張る。

「何とも言えないいい顔をするね、可愛いよ…」
言いながら何度も突かれて、堪らず声が漏れる。
「あ…いっ………い」
「痛いのか?」
正守の問いかけに首を振る。

「きもち…いい」
凄く恥ずかしかったけど、兄貴が心配しているのでそれだけは伝える。
「全くお前は…」
兄貴は身体を起こし、俺を倒して正常位をとった。
「あっ…」
急に体制をかえられて、慌てて兄に手も足も絡めてしがみつく事で安定をとる。
「本当に、男を狂わせるのが上手い…」
「あっあっ…ああぁぁ」
深く付かれて、もう何も判らなくなる。白濁した意識の中で、兄貴の肌だけがリアルに感じ取れた。


■■■■■


「今日はどうしたんだ?」
聞かれても困ってしまう。こんなにも従順に、すべてを預けきってしまうなんて今まで無かったからだ。

同期はハッキリしている、兄貴を手放したくなかった。
もしかしたらこれで最後かもしれないって思ったから。

でも、さっきの行為で、兄貴が「俺の事まだ好きなんだな」って事は判った。
こういう事って言葉よりも感じ取るモノなんだな…

今はこれで十分だよ。


「好きだよ」
兄貴を見た途端に言われたので、びっくりして黒い双眸を大きく見開く。
「お前って考えてること判りやすいよな」
そう言って兄貴はクスリと笑う。
「あ…」
セーラー服をめくられ、胸の突起を吸い上げられる。
甘く噛んで舐め上げると、その動きに呼応するように良守の口から声が漏れる。

「良守が俺のこと好きなの、全身から伝わってくる…嬉しいよ」
「え?」
そんなの判るの?
「良守は判らない?」
そう言って兄貴は俺を抱きしめてくれる。

…判る。
どうしてなのかな。
こうして抱き合ってるだけで伝わってくる…


「お前だけが好きだよ」
「…うん」
今は素直に信じられる。俺は兄貴の背に手を回して。ぎゅっと抱きしめた。
俺の想いが、兄貴に伝わりますように…



十分伝わってると思うよ。ヨッシー
少し(?)いや…かなり改訂しました。以前は良守と正守の思考が交互でわかりにくかったので、前よりは読みやすくなってる…はず。

この話は書き始めのコンセプトから大幅な変更があり予定外だらけ…

そもそも女体化した良守と、キヨコの暗示に掛けられた設定でのドリーム小説にしようと思ってたのに、攻めを兄貴にしたらこんな事にw
折角、皆様に良守の胸のサイズは巨乳・標準・貧乳のアンケートを採らせていただいたのに…
いつか活用します…はい。(結果は標準が一番人気でした)

ここまで読んでくださった奇特な方、有り難うございました。

2007.05.06 up  2007.07.02 改訂