好奇心

「んぁ…」
低く掠れてる濡れた声が、綺麗に整った榛名さんの唇から洩れる。

綺麗な目が細められて、まるで溶けたみたいにこぼれ落ちる涙が宝石みたいにキラキラ輝いて、俺の目に眩しく映る。
思わず見とれてしまった俺に「見んな」って言って逸らした顔も凄く可愛くて、もっともっと見たいってどんどん欲張りになってくる。

---------もっと見たい。俺に、もっと見せて。
怒られるかな?ってドキドキしながらそっと榛名さんの頬に触れる。

こっち向いて…って願いを込めて、榛名さんの頬にそっとキスを落としてみた。
何度も何度も羽のように触れるキスを繰り返すと、ようやく榛名さんは俺の方を見てくれた。

嬉しくて嬉しくて、自然に笑みがこぼれる。
榛名さんは強くて、大きくて、球も速くて、凄く格好いい。
「はる…な……さん。大好き……です。」
胸がドキドキして、言葉が上手く紡げない。
「知ってるよ。バーカ」

素っ気ないけど、優しいトーンで…。凄く嬉しい。
榛名さん、嫌がってない。

それだけで俺は、幸せな気持ちで胸がいっぱいになった。

               ◇
               ◇
               ◇

最初に見つけたのは田島君だった。
いつものように練習していたら、グラウンドに榛名さんがやってきたんだ。
自分の目で見ても信じられなくて、俺は慌てて駆け寄った。でも、榛名さん俺の事なんて覚えてなるかな…夏大のトイレで会ったきりだし…。

「練習試合で近くまで来たから、タカヤがどんな野球やってるのか拝みに来たんだ」って、阿部君を捜し始めた。
俺が、阿部君ならあそこにいます。と教えると、阿部君は露骨に嫌な顔をしてこっちへやってきた。教えちゃいけなかったんだろうか…どきどき

「よぉ。タカヤ」
「…一体、何しに来たんですか?」
阿部君は榛名さんに対して、相変わらずな態度だった。
でも、本当は嫌いなんじゃないよね。俺…知ってるんだ。

「んだよ。第一声がそれかよ。お前、センパイに挨拶ぐらいできねーのかよっ」
「………………ッス。」

「お前さぁ…そんな無愛想じゃ、モテねーだろ。もっと愛想良くしたらキャーとか言って女の子達がチューくらいしてくれるかもしれねーのに。」
「別に、フツーに有りますよ」
阿部君がプイッと横を向いてそんな事を言うので、俺は「あっ」…て、思った。
「んだ。そりゃ、可愛気のねぇっっ」
榛名さんが怒り出しちゃった。
「榛名さん、部室行きましょう。お茶とか出します」
「三橋っっそんなヤツほっとけ。練習するぞ」
阿部君はそう言ったけど、俺は榛名さんを引っ張って部室に連れて行った。

折り畳み式の椅子しか無かったのでそれに座ってもらい、マネージャーが用意してくれてる麦茶を差し出した。榛名さんはのどが渇いていたらしく冷たく冷えた麦茶を一気に飲み干した。



「お前、三橋だっけ」
「は……い」
俺の名前知っててくれてた?…あ、阿部君がさっき俺の名前呼んだっけ。

「キスしよっか」
ギシリと固まり心臓が跳ね上がった。
俺の都合のいいように何か聞き間違えたかと思ったんだ。

俺がキョトンとしていると榛名さんは
「あいつに経験があって俺に無いなんておかしいと思わないか?」って言い出した。

ああ、そうか。さっき阿部君に「キスしたこと有るか?」って聞いたときに「別にフツーに有りますよ」って言われたのが気にかかってたんだね。

榛名さんは経験無いんだ…何だかドキドキしてしまう。
結構、負けず嫌いなんだな。
榛名さんの事が一つ聞けて嬉しかった。

色々考えているうちに、榛名さんは立ち上がって顔を段々俺に近付いてきて来た。
俺はそっと目を閉じて榛名さんのキスを待つ。

ちょっとずれた?唇にはちゃんと当たってるんだけど、どうも榛名さんは上手く狙い通り行かなかったようだ。
角度を調節して、今度こそぴったりと唇が触れ合う。

ひょっとして、俺を練習に使いたかったのかな?
それでも、今、榛名さんとキスしているのは俺なんだって思っただけで、幸福感で胸が満たされた。

唇を離した榛名さんは、「ふーん。こんなのか」なんて感想言ってた。
「あのっ……」
「あん?」
「その……ゴニョゴニョ」
思い切って話しかけてみたものの、榛名さんに睨まれて思わず口ごもる。
ど……どうしよう。怒られるかな。

「んだよっ。早く言え!」
「うわっ……は、はいっっ。」
怒鳴られてビクリと震え上がる。こういうときの榛名さんは迫力があった。
さっきキスしてきたときは、ちょっと可愛いとか思ったのに、ぜんぜん違う人みたいだ。

「あの…その……」
「あぁ?」

「し……舌…とかっ…入れないのかなって……おもっ……おもって」
やっと言葉にできたのでホッとして榛名さんを見ると、何だか呆然としていた。
俺、何か変なこと言ったかな?

「………おまっ……。経験あんの?」
少し戸惑いながら聞いてくる榛名さんは、ちょっぴり恥ずかしそうで、何だかすごく可愛かった。俺が頷くと、プライドを傷つけたらしく、また顔を近づけてきた。

「ん……」
舌が割り込んでくる感覚に、思わず声が漏れる。
榛名さんはかまわず舌を差し入れてくるので、俺は迎えるように舌を絡めた。

榛名さんの舌を辿って、榛名さんの口の中へと侵入する。
あ…榛名さん、今びくってなった。
もう…ちょっと……。俺はもっと深く口付けていった。

「……ふっ」
うわぁ……。榛名さんから吐息が漏れて感じてくれているのが嬉しくて、懸命に舌を這わす。でも、うまく届かない。
榛名さんの身長は高すぎて、もうちょっと屈んでくれないとキツイ…
俺はそっと唇を外すと「榛名さん…座って」って、お願いしてみた。

少しぼうっ…とした榛名さんは、あまり力が入らないみたいにペタンと椅子に腰を下ろしちゃった。
俺は間を置かず榛名さんに口付けた。榛名さんの気が変わらないうちに…少しでもこの時間を長引かせたかったから。

「ん…んっぅ……」
榛名さんが座ってくれたから、今度は随分楽な体勢でキスできた。
その分、榛名さんは苦しくなるのか、俺の袖をギュってつかんでて、何だか縋り付かれているみたいでドキドキした。
こんなに格好良くて、力も強くて、背も高くて……それでいて、すごく綺麗な榛名さんとこんなこと出来るなんて、夢みたいだ。

ふと見ると、榛名さんの股間が少し膨らんでいた。手をそろそろと伸ばして触れてみると、ビクって反応して慌てて俺を引き剥がした。
「…………何処、触るんだお前…」
榛名さん真っ赤になりながら、吃驚した顔をしてる。
「え……だって……」
「ンな所、触んじゃねーよ!」

「でも…」
「あぁん?…っだよっっ!」
榛名さんが怒気を込めた声でそう言うと、俺を睨み付けてきた。
俺は、怖かったけど勇気を出して指を口元に持っていった。
「気持ちいい……ですよ」

やっとそれだけ言うと、俺は自分の指を舌を出してそろりと舐める。
榛名さんは黙って俺のする事を見ていた。

「口でしたら…凄く気持ちいいんですよ。」
にっこり笑って、榛名さんからよく見えるように更に指を舐めた。口に含んだり、甘噛みしたり、出来るだけいやらしい想像が浮かぶように…カプリと口に含みながら、ゆらりと視線を榛名さんに向けた…。

舌を出して、指に垂れて伝う唾液を舐め上げる。
その動きに合わせるように、榛名さんの喉がゴクリと嚥下した。

興味…有るんだ。
もっと…もっと……俺を見て。
ほら、……こんなふうにしたら…スゴク気持ちいいよ。
でも、榛名さんは戸惑ってた。

「阿部君は…」
「え?」
阿部君の名前に榛名さんが素早く反応した。そうだよね。榛名さんは阿部君に会いに来たんだもの。気になるよね。
「阿部君は、したことあるのかな?」
その一言は利いたようで、榛名さんの動きが止まる。俺は、そうっ……と榛名さんのベルトを外して、ジッパーを降ろして大きく前をくつろげさせていく。

ちらっと見た榛名さんは、「どうしよう」って顔に書いてあったけど、俺を止めたりはしなかった。だから良いって事だよね。

半立ち状態の榛名さんを取り出して、舌を這わせた。
最初は舌先でチロチロ舐めてみて、徐々に舌を絡めていく…。
少しずつ良くなっていく感覚に、榛名さんはうっとりしたような顔で頬を染めている。

うわぁ……。すごく、凄く可愛い。
もっと俺に見せて…。深く銜え込むと、ビクリと反応する。
絡める舌に呼応するように打ち震える榛名さんは愛おしく感じる。

カリの所をくりくりと舌で押すと、吐息にも似た呼吸が耳に届く。
ぐるりと舌で巻き付けて強めに吸うと、せっぱ詰まったように榛名さんが俺の頭に手を乗せた。

丁寧に丁寧に、榛名さんが一瞬力を入れたところや、動きが止まったところ…何かしら反応を返してきたところを重点的に愛撫する。
榛名さんの息が荒い…。感じてくれてるんだ。
空いている指で、玉に触れてみた。そんなには感じないと思うけど、そちらに気を取られている時に弱いところを刺激してみると、面白いほどの反応が返る。

ふいに…唇を離して玉を頬張ってみた。
榛名さんを見ると、気持ちいいけど其処じゃないって顔してる。

もっと見せて…そんな顔…もっと見たい。
わざと待ち望んでいるところに触れず、反応を楽しんでいると榛名さんの顔が見る見る赤く染まる。言いたいけど言い出せなくて、焦燥感に駆られる熱を何とかやり過ごすのに精一杯のようだ。

先端からポタポタと溢れる滴を手に絡めながら、再びお待ちかねの場所を唇で包み込んでいく。榛名さんが気持ちよさで、ぽぅ…となっているのを見計らって、濡れた中指をそっと秘所へと侵入させていく。
「え?…な??」
慌てて腰を引くけど、かえってズボンが脱げてしまい、俺は指を深く埋め込むことが出来た。
「ちょ…何やってんだっっ」
俺を引き剥がそうと頭に手を乗せて突っぱねられたけど、口の中の物を少し強く吸って扱うと、途端に力が抜けた。
「ん……ちょっ離せ。」
力が入らない震える指で、髪を引っ張ってきたけど、痛みに我慢して懸命に舌を絡める。
先程までおあずけを食らっていた待望の場所への刺激に未練があるのか、不安定な椅子の上で暴れて、転けて怪我をするのを恐れたのか、そんな無理矢理力任せに引っ張ってくることが無かったので何とか耐えられた。
「後ろ、抜けっ」
榛名さんがそう言った瞬間、ビクッと身体を硬直させた。
………ここ?
反応が返った場所を同じように辿ると、榛名さんの息がたちまち上がる。
手首を捻ってボールでタコになってしまった堅い部分で刺激してみる。
「あっ……あっ……やだっ」
ザラザラした堅い皮膚で刺激されると、榛名さんは声を耐えきれなくなったらしく、女の人みたいな声を出したり、ヤダって言う。
「榛名さん。大丈夫……だからっ、力…抜いてください。」
「なっ…何が大丈夫なんだよっ!抜けっつってんだろっ!!」
榛名さんの怒号に、正直ドキーッてなった。心臓がバクバク言う。榛名さん…怖い。

でも、怖い榛名さんは、赤くなってる。赤くなってる榛名さんは…ドキドキするくらい可愛い。もっと可愛い榛名さんが見たくて、指を増やしてクチュクチュと中を探る。
「や…ちょ……やめ……っ。イッちまう…からっ」
せっぱ詰まったような声にあわせて、口の中の榛名さんを強く吸ったら、口の中に榛名さんが溢れた。少し零しちゃったけど殆ど飲み込めた。
口から離すときに、ツー…と、糸を引いた。榛名さんが引き留めてくれてるみたいで、何だか俺は嬉しかった。

俺のロッカーからタオルを出して、榛名さんの後始末をしようとしたら、あっという間に奪い取られて自分で始末して服を着込んでしまった。

無言で立ち上がり踵を返す榛名さんを、慌てて引き留める。
「こ…これ、俺の電話番号」
「いるかっっ」
荒々しくドアが閉まり、後には三橋1人残された。

榛名さん…怒って帰っちゃった。俺が怒らせた…
阿部君は榛名さんが帰ったことを伝えると「結局、何しに来たんだ?」って感想漏らしただけだった。榛名さん…電話くれるかなぁ…俺、榛名さんの電話番号知らないから連絡できない…。

また逢いたいな…。



時期的に夏大後の残暑厳しい時期を想定しています。
このまま西浦と武蔵野第一が勝ち上がって戦った場合は、「夏大のトイレ以後あってない」と言う説明に矛盾が生じますので、その時はそこを修正します〜。

すみません続きます。最初の状態に繋がってないしw
次回のタイトルは「餌」

2007.11.11



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