真面目な時音がいない夜

「や…やぁぁ」
良守が震えながら涙を流す…
「良守ってこういうふうにされるの、好きだったんだね」

「んあっ…やぁ…」
正守の無骨な指が、良守の中へと遠慮なく侵入していく。

「知らなかったよ…ずっと時音ちゃん時音ちゃんって、言ってたからね」
言葉で攻めながらも手を止めることはしない。

「だ…ダメ…」
「ダメ?」


「何がダメなの?時音ちゃんとは毎晩楽しんでるんだろう?」
背筋が凍り付くかと思った…どうして兄貴が知ってるんだ?

どうしてー
時音が不在の夜に…


■■■■■


夜中に烏森に突然現れた兄。
時音は今夜、大学で泊まりの研究と言うことで、烏森には俺と利守が来ていた。

「少し聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「なんだよ。」
返事をしている俺を素通りして、今度は利守に話しかける。

「利守。後は俺達がしとくから、今日は帰ってくれない?」
「え…いいけど。どうせ、もう帰る時間だし」
「ついでに白尾も連れて帰ってね」
「おや、二人っきりなんて怪しいねえ…」
斑尾の言葉に兄貴がニヤっと笑う。

何となく警戒して兄貴を見つめる。
白尾まで返してどんな話をするのだろうか…俺は何となく一人になってはいけないような気がした。
「何?俺が怖い?」
「な…んなわけあるか。白尾。利守と一緒に帰っといて」
「はぁ…よっしーに命令される日が来るとは…」
「くだらねーこと言ってねーで、さっさと行け」
「はいはい」

しまった…白尾をかえしちゃった。…ま、いいか。
「何だよ話って」
「ん…取りあえず行こうか」
「え?だって烏森は?」
と…いったところでいつもの帰宅時間な事に気が付く。

「どこ行くんだ?」
良守が話しかけるが、正守は何も話さず微動だにしない。
「兄貴?」

は…
兄に近づいて、初めて兄の目前の空間が歪んでるのが見える。
「何これ…烏森の力なのか?」

いや…何も感じない。と言うことは
「兄貴の…能力なのか?」
空間を造ることに集中しているのか、印を結んだ状態で兄貴は何も喋らない。
やがて、その空間はぽっかりと口を開けた。


「おいで」
躊躇いなく正守は、その大きく口を開けた漆黒の闇へ消えていく。

これが…空間を統べる能力……烏森の封印に使えるかもしれない。
「待てよ」
俺はためらわず兄の後を追った。


良守が入ると同時に、空間はスゥ…と元の姿に戻り、何事もなかったかのように夜が白み始めた静寂を取り戻した。


■■■■■


どこなんだここ?
「兄貴」
「こっちだよ。良守。」
声を頼りに兄の所へたどり着く。

このあたりは少しだけ明るいようだ。
「ここ何処だ?これって兄貴の力なのか?俺にもできるのか?」
「質問攻めだな…」

正守は「ふ…」と笑って、もう一度印を結ぶ。
するとポゥ…と蝋燭の火のような明かりが灯る。

「部屋?」
「そうだよ。一人になりたいとき何かにね、ここにくる」
「すっげー。どうすんだこれ?俺にも教えてくれ、つか繁じいもこれできんのか?」
良守が興奮して話かけてくる。

「まー出来るんじゃない?応用だよ。こんなの」
そうなんだ。へーへー…と、しきりに感心しながら良守は部屋を見回す。
すごいな兄貴。そう言って笑う。
「無邪気だねぇお前は。」
「あ、そう言えば何で呼んだんだ?何か話があるんだろ?」
突然思い出したように良守が話しかけてくる。

「ああ…うん。ちょっと聞いておこうと思ってさ」
ふんふん。と頷きながら良守が兄の言葉を聞き漏らさないように集中している。
これを造るヒントの期待でもしているのだろうか?




「お前、時音ちゃんに抱かれてるだろう…」
「……………え?」
「後ろを弄られて…盛大によがっちゃってさ…」

「な…」
「お前がそう言うのOKなの知ってたら、諦めたりしなかったのにな…」
「なにいって…」
後ずさりしようとした良守の手を素早くつかみ引き倒す。

「ぐっ」
乱暴に床に叩き連れられ、良守の顔が苦痛に歪む。
そのスキに正守は良守の上にのしかかり動きを封じる。

今はもう殆ど体格差の無い兄弟は上に乗った兄の方が有利だった。
「知ってた?俺…ずぅっと良守が欲しかったんだよ」
「なんだよそれ…」

「ずっと好きだった…」
良守の心臓が跳ね上がる。
「なのにお前と来たら年中時音ちゃん時音ちゃんって…」

「だから何も言わなかったのに」
良いながら良守の臀部に手を伸ばす。
「ここを弄られるの好きだったんだね」

「や…やめろっ」
身の危険を感じて正守の下から何とか抜け出そうとする。
正守は良守の髪を掴んで床に押しつける事でその動きを封じる。

「良守」
反らされた首に唇を落としていく…
「知ってた?本物の男の方が、ずっと気持ちいいんだよ。」




「こんなヒクつかせてるのに嫌なんだ?」
正守の言うとおり、そこを刺激されることに慣れていた良守は、身体が自然に反応するようになっていた。
「やだ…って…」
兄の指を受け入れたそこは、良守の良いところを刺激しては離れ、ギリギリの所でもてあそぶようにうごめく。

一番良いところに後少しで届かないもどかしさに、ヒクヒクと物欲しげに身体が反応する。
「もぉ…やだぁ…」
先程から一筋の光が流れる良守の目尻に、新しく涙がつたう。
「もっと気持ちよくしてあげるよ」
そう言って正守は良守の腰を持ち上げ、ゆっくりと自分を埋め込んでいく。
「あっ…あっ……やだっ。だめだ離して」
「今更…もう逃げられないよ」
柔らかくなるまで指で散々愛撫されたそこは、むしろ正守の侵入を歓迎していた。
良守がどう思おうと、身体は新しい刺激に狂喜している。
「うくっ……はあっ」
根元までしっかりと埋め込むと、良守は半ば気を失っていた。
「良守」
軽く頬をぺちぺちと叩いて、良守の意識を呼び戻す。
「あ…」
良守が少し覚醒したのを見届けると、正守はゆっくりと動き始める。

「あ…ちょ……あっ……あんっ」
なにこれ…こんな事考えちゃいけないのに…でもっでもっ
良守はどうしてもその考えを振り切れなかった。

気持ちいい…
ダメだってわかってるのに、それを追い求めることで頭が一杯になる。

「あ…あぁ…あんっ……」
鼻に掛かるような吐息に正守は「気持ちいい?」と聞いてみた。
「すごい…いい」
そう言って自分の背に手を回してくる。

ゾクゾクするほど愛おしい。

はっ…良守が目を開けた。
良守の反応に気を取られて動きを止めてしまい、良守は我に返ったようだ。
「こんなんやだっ…俺、女みてぇ…」
良守が何とか兄を引き剥がそうと、その肩を力無く押す。

感じすぎた身体では力など入らず、為す術もなく震える良守を抱き寄せる事で二人の肌がぴったりと吸い付くように重なる。
「俺の女にしてやるよ…」

甘く囁きながら良守を包み込むように抱くと、腰の動きを いっそう激しくする。
「や…あっ……あぁぁ」

神経を直接触れられるような刺激に、思わず兄にしがみつく。
体中が痺れるように神経をとがらせていて、なんでもない刺激でも直接性欲に結びつく。
「んあっ…」
兄の着物がほんの少し擦れるだけでイってしまいそうになる。

震えながら兄にしがみつき、兄の腰に脚を巻きつけて何とか堪えるが、直後に兄激しく突き上げる。
「あっ…あっ…………う……っ」
良守が身体の奥深くに入り込んだ兄を締め付ながら、快感に震えながら自身を手放す…


「はぁ…はぁ…はぁ…」
ビクッ…
兄が少し身じろぎしたので、身体の中の兄に変化がないことに気が付く
「あ…」
良守がおびえながら兄を見ると視線が出合い、兄の口元がゆっくりと笑みを作る。
その唇に口づけられ、我が物顔で口内を蹂躙される。


「ん………っ…ふ…ぅ」
クラクラして…
苦しくて…
頭の中で時音がフラッシュバックのように現れては消える。


身体の奥に感じる兄は、締め付けると弾力を返してくる…固いバイブとは違う…生身の人間の身体。強く突いてきても怪我をするんじゃないかという恐怖もなく確実に良守の感じる場所を、カリで刺激してくる。
夢中になって貪るうちに…言われるがままのポーズを取り、自ら欲望を求めてしまう。

「あ…んっ……あぁっ」
何より…熱くて…
どうしよう…
気持ちいい

こんなふうにされたら俺…

もっとして欲しいって思ってしまう…




どのくらい時間が経ったのだろう。
目の前の男に何度も何度も貫かれ、何度も中で出された結合部分からはぐちゅぐちゅと卑猥な音がもれるソレは良守の中からあふれ出していた。
兄が中を擦るたびにかつて経験したこともないような快感に我を忘れて嬌声をあげる。

思考を完全に停止してしまった、白濁した世界の中で良守は兄の腰に足を絡めて振り落とされないようにしがみついて居るのがやっとだ。
正直な身体は、貪欲に自ら腰を正守の動きに合わせて擦りつけていた。

怖い…この、底の見えない快楽の深淵へと誘われ、もう自分がどうなるのかまったくわからなかった。



よっしー気持ちよさそうだなぁ
次回は時音が良守を探す所からスタート☆

2007.5.19



<< topページへ戻る   続きを読む >>