リアル くノ一

夜行の深夜の一室、青年達が一つの部屋へと集まっていた。
「いよいよお楽しみのリアルくノ一だ」
「でも、これ…どーすんの?誰が使うんだよ」
「え?使うって?DVDじゃないの?」
「おまっ…これがなんだか知らなかったのか?」
「普通にAVだと思ってた…」
「ばっかだなぁ…これは中に札が入ってるんだよ。その札を誰かに送りつけると、送られた相手が自分はくノ一だって暗示に掛かるんだ」
「それでどーなるの?」
「送った相手を、自分のお頭だと思いこんで夜のお相手を…しかも次の朝には綺麗さっぱり記憶からなくなるという優れものだっっ」
「す…すごい。」
でも、それって性犯罪じゃねーの?などと青年達は興奮しながら話していたが、その悶々とした熱が一気に冷めた。

スラッ…と、障子が開き、彼等の上司が現れたからだ。
「頭領…」



重い空気が部屋に漂う。
「…ど……………どうですか?頭領もお一つっっ」
と、そのうちの一人が場を誤魔化すためか、手に持っていた「リアルくノ一」を勢いよく正守に勧める。
ばかーっ怒られるに決まってるだろ。煽るなーー。と他のメンバーは思ったが、

意外なことに
「いいのか?」
と、返事が返ってきたので一同で頷く。
「じゃ、使わせて貰おうかな」
あっさりとそう言って、正守は「リアルくノ一」のパッケージを開け、その中の札を一枚手にして部屋を出ていった。


残された部屋は、しばしあっけに取られ、静寂にに包まれた。
「頭領ってあれ、誰に使う気なのかな?」
「さー?夜行の誰か?」
「頭領って顔色にでないもんなぁ…。でも、持ってったって事は、普通にこういうのに混ざれるのか?」
「それよりも、相手が気にならないか?」
「なるに決まってるっ」
何人かがそう言うと、一斉にみんなが立ち上がった。

「箱田に、頭領が今なにしてるのか見て貰おうぜ」
「おお。誰に送るのか気になるものなっ」

男達はどたどたと深夜の廊下を走り、箱田の寝ている部屋へと向かった。
「箱田。箱田起きろよ。頭領が今何やってるのか、ちょっとわかんないか?」
「へ?……うーん、なんか札にまじないかけてるみたい。」
箱田は寝ぼけながらも目を凝らし、みんなの要求には応えた。

「まじない??」
「うん。」
「何のまじない掛けてるか判るか?」
「えーと…あの、呪札の並べ方は、暗示の強化だね」

「暗示の強化??」
男達が一斉に声を揃えたので箱田は驚いた。
又、男達も驚いた顔をしている
「ど…どうしたの?」

「いや…いいんだ。有り難う箱田。寝ているときに済まなかったな」
来たときとは違い、男達は静かに部屋を後にした



「暗示を強化しないといけないほど暗示に掛かりにくい女ってだれだっけ?」
「夜行の誰かとは、まだ限らないぞ。」
「取りあえずあの札を何処に送るのか見張ろうぜ」
ひそひそと作戦を練る男達をよそに、そのころ正守は式神を飛ばしていた。

もちろん。その式神に札を持たせて。





ばさ…
「あ?」
烏森から帰ると、式神が窓に留まって良守のかえりを待っていた。

「げ…兄貴からだ。なんだこの札?」
式神は良守が札を受け取るのを見届けるとボウンとただの紙に戻った。

「他に説明がねーじゃねーか……」
良守は不満に感じつつも札を枕元に放り投げ、学校に行くまでの貴重な睡眠時間の確保に掛かることにした。

良守はそのまま札の存在を忘れてしまうが、眠る良守に、呪力がそっと忍び寄っていく。


■■■■■


10日後

良守は、烏森から疲れた身体を引きずりながら自室の布団へと向かう。
「げ…」
部屋の襖を開けると、正守が待っていた。
「よぉ」



瞬間、良守の目の色が変わる。




「お帰りなさいませ。お頭…」
正守を認識した瞬間…良守は正座をし、三つ指をついて深々とお辞儀をする。

「これは凄い。」
正守は感心したような顔で良守を見た。
「ただいま」
良守の前に腰を下ろすと、にっこりと微笑んでくる。

「おいで…」
正守が優しく手をさしのべると、良守はその手に引かれるまま正守の胸に身体を預けた。
優しく髪をなでてやりながら上を向かせ、口づける。

「ん…………ふぁっ」
角度を変えて奪うように繰り返すと、たちまち腕の中の弟は苦しそうに正守の着物にしがみつく。

あれほど自分を嫌っていた弟が、俺に素直に身を任せてくる。
その事実に震えるほどの感動を覚えた。

たとえ札の効力で一夜の夢だとしても…

「お……か…しら」
布団に押し倒してやると、少し息を弾ませて俺を呼ぶ。
呪力強化を掛けて置いたのに、完全には掛からなかったが…
本来なら、くノ一のコスプレでそっちから誘ってくるはずなんだがな…

まぁ…いいか…と、自己完結して防音結界を張りながら、長い間求め、焦がれ続けていた首筋に唇を落とす…
「あ…」
それだけで可愛い声を漏らしながら、小さく震える。
いつもなら精一杯虚勢を張って、全身で俺を拒絶するのに………

なんと素直に鳴くことか…
愛しい……愛しい……ずっと手に入らなかった存在。
「は……ぁっ、……んん…ぅっ」
鎖骨に沿って舌を這わすと、弓なりに体を反らせて可愛い声で鳴き、潤んだ瞳で見つめては、俺の首に縋り付いてくる。

「良守」
「あ………お…お頭。お慕いしております。」
と言って恥ずかしそうに甘えてくる。
可愛い…しかし、良守なら絶対使わなそうな言葉遣いだな。何故「リアル妹」じゃ無かったんだろうと、少々残念に思う。

「俺も良守が好きだよ。ずっとずっと前から…」
耳元で「愛してる」と囁くと、良守の男の子がたちまち反応する。
服の上から手でなでてやると、良守は体を震わせて切なそうに眉根を寄せる。
「あ…あっ」

下着の中に手を入れて直接刺激してやる。
「やぁっ……あっあっ。おか…しら……変になるっ」
逃れようとする良守を許さず、しっかりと押さえる。
「いいよ。変になっても…もっともっと変になった方が、ずっと気持ちいいよ」
耳元で囁いてやると、いっそう感じたようだ。瞳が更に潤んで今にも涙がこぼれ落ちそうになっている…
「あ……あんっ」

腕の中で朱を帯びていく良守の身体は、ひどく扇情的で…
服をすべて脱がせ、その情欲に身を任せて愛情を込めて丁寧に愛撫する。
「あっ…あ……ひぁっ…っ」
胸の突起に舌を這わせながら、もう片方を指で刺激してやると、震えながら甘い声を漏らす。
良守が鳴く所を何度もせめてやると、放り出されていた下半身が辛いのか、腰をもじもじと揺らし始める。

内股に手のひらを滑らせ、わざとソコには触れてやらないようにすると。
「やぁん……」
と、抗議のような甘えるような声で反応が返る。
困ったように見つめてくる瞳に免じて、待望の場所に手を添えてやる。

「あ…はぁ……っ。あ、あっ」
緩く上下してやるだけで随分感じるようだ。頭を振って快感に耐える
「あ……も…でるっ」
俺の着物に縋り付いて必死で我慢するが、あっけなく達した。

「はぁっ…はぁっ……」
余韻に浸る良守の最奥へと悪戯を始める。
「え?…なっ……」
慌てて腰を引こうとするが、逃さない。
元々圧倒的な体格差だ。押さえるのは容易な事だった。

「な…何でそんな所、あっ」
つぷり…と濡れた指を埋め込む。
しかし、最初の第一関節の所でその動きは止まる。
良守が下腹部に力を込めたからだ。

「力抜いて…」
「で…でも怖い」
良守が首を振って拒絶しようとするので、脇腹に手を滑らせてやる。たった、それだけの事でもイったばかりの身体は反応を返し、全身の力がゆるむ…

「あ…うっ」
そのスキを突いて、途中まで埋め込んでいた中指を内部を傷つけないよう奥まで埋め込む。
「痛いか?」
仮に痛いと返事が返ってきても止める気は無いが聞いてみる。
しかし、良守は首を振りながら「大丈夫です」と答える。

中で指を動かしてやると、良守の身体が時折跳ねる。
反応の返る場所を重点的に攻めてやると、良守は俺にしがみついて許しを乞いに来る。
「も……やめっ……」
「どうして?気持ちいいだろう?」

「やっ……わかん…な…」
荒い息づかいで何とか答える良守に
「そうか…判らないのか…。じゃあ確かめてみようね」
と、意地悪に囁く

「そん…なっ」
縋る目つきがたまらない。
俺はゾクゾクしながら、埋め込む指を2本に増やす。
「あ……な…何?」
「判る?2本入れたんだよ…」
何が起こったのが理解できない良守に、耳元で説明してやりながら、2本の指で内部を蠢かせながら出し入れして、ソコを柔らかく溶かしていく。

「あ……はぁ………や…もうやだ」
涙を流して訴えるのを、ずっと放置されていた良守を口で包み込む事で黙らせる。
「んぁ…はぁ……ん」
流石にこちらは素直に感じるのか、先程までと違い大分気持ちよさそうだ。
奥を弄る指はいっそう激しく動かしながら、口内で良守を可愛がる。

「ひぁ……あっ、やぁ…ぁ……んっ」
俺の頭に手を置いて逃れようとするが、力無い抵抗に帰って煽られる。
「あっ…あ」

ペロリとなめ上げて唇を離す。
同時に指も抜き去り途中で投げ出される不安に、俺を見つめて観察してくる。

両膝裏に手を入れ、持ち上げた腰に一気に自身を埋め込む。
「あ……ちょっ……ま……………っっ」
熱で溶けた内壁は、俺を締め上げながらゆっくりと受け入れてくれる。
「あ……ぐぅ……っ」
「そんなに締めないで…力抜いて」
「はぁ……はぁ……んっ……ふ…ぁっ」

優しく優しく宥めながら、ゆっくりと…深く…根元までキッチリと埋め込む。
はぁはぁと息を整える腕の中の愛しい存在を、髪をなでながら観察する。

視線が交わると、気恥ずかしそうにすぐに視線をはずして。俺の背に手を回してくる。
「あっ…」
それを合図に良守に指絡めながら律動を始める。
「あっ…あっ……おかしらっ」
前と後ろ、両方からの刺激に、明らかに欲情した嬌声がもれ、良守の顔に欲情の色がハッキリと見て取れる。
その表情に煽られるように、俺はいっそう激しく突き上げた。
「ひぁんっっ。あ……あ…あっ」

良守の身体に硬直が走り、俺自身を強く締め上げる。
そのあまりの気持ちよさに、中で達して奥に注ぎ込む。
「んっ…ん」
その余韻に浸りながら、二人揃って弛緩する。
「はぁ…はぁ…」


腕の中の存在を愛おしく抱きしめると、良守がそっと頬にキスしてくれる。
それだけで心臓を鷲掴みにされたような感覚にとらわれる。

本来なら、出来るだけ痕跡は残さない方が良いに決まってる。
良守は、起きれば綺麗さっぱり今夜の事は忘れてしまうだろう。

それでも……正守は良守の身体にたった一つ紅い華を残した。
どうか…俺を忘れないでくれ…と、願いを込めて。



「性犯罪なんじゃ…」反論できませんな…

2007.5.29



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